2020 Fiscal Year Research-status Report
痛み知覚および運動による鎮痛効果に対する腸内細菌叢と摂取栄養素の影響
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19K11376
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Research Institution | Nagoya Gakuin University |
Principal Investigator |
城 由起子 名古屋学院大学, リハビリテーション学部, 准教授 (30440663)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 腸内細菌 / 痛み / 心理因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、健常者を対象に腸内細菌組成と痛みの感受性、心理因子との関係についてデータの収集と解析を行った。その結果、若年の男性では圧痛覚は、Bacteroidetes門の保菌率と有意な負の相関を、Firmicutes門の保菌率とは有意な正の相関を示した。また、Aδ線維の電流知覚閾値は、Firmicutes門と有意な相関を示した。一方、心理状態と痛覚の間には有意な相関は見られなかった。このことから、若年の男性では急性痛覚と腸内細菌層の組成には関係性があると考えられた。この研究結果は下記の学術誌で公表した。 Shiro Y, Arai YC, Ikemoto T, Ueda W, Ushida T. Correlation Between Gut Microbiome Composition and Acute Pain Perception in Young Healthy Male Subjects. Pain Med. 2020 Dec 1:pnaa401. また、2021年度に予定していた運動による痛み知覚の変化と腸内細菌叢組成の関係についても2020年度に実施した。健常者30名を対象に6週間の運動介入を行い、その前後での腸内細菌組成および痛みの感受性の変化とその関係性について調べた。その結果、腸内細菌叢組成や痛みの感受性に有意な変化は確認できず、これらの関係性は明らかとならなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
健常者を対象とした腸内細菌叢組成と痛みの感受性、心理因子との関係については学術論文で公表することができている。また、現在は腸内細菌叢組成の解析方法を変更し、性差についても検討が進められている。 慢性疼痛患者を対象とした研究についても、現在100名を超えるデータの収集ができている。 運動介入による腸内細菌叢組成や痛みの感受性の変化とその関係性についても、ネガティブデータではあるが実験は完了している。
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Strategy for Future Research Activity |
健常者を対象とした研究については、性差を含めた検討を行い2021年度中の論文での公表を目指している。 慢性疼痛患者を対象とした研究については、現在測定が完了している約100名のデータを基に健常者との比較を進める。また、データ数を増やし、疼痛部位や疾患による分類を行い解析を進める予定である。 運動による痛みの感受性変化と腸内細菌組成変化の関係については、2020年度までの研究結果からその関係性は乏しいと考えられるため、2021年度は運動介入研究ではなく慢性疼痛患者を対象とした研究に重点を置いて進める予定である。
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Causes of Carryover |
コロナウイルス感染症の影響で予定していた国際学会の中止や国内学会のオンライン化により予定額が執行できなかった。また、一時実験が行えない期間があった。さらに学術誌の投稿費を予定していたが掲載費不要の学術誌に投稿することができたことなどから次年度使用額が生じた。 腸内細菌組成の解析方法について、これまで行っていた方法よりも新しい方法での再解析を行う予定である。また昨年度思うように進まなかった慢性疼痛患者を対象としたデータ収集を今年度継続して行う。さらに、今年度が最終年度になるため、学術大会や論文で研究成果を公表していくための費用として助成金を使用する。
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