2021 Fiscal Year Research-status Report
痛み知覚および運動による鎮痛効果に対する腸内細菌叢と摂取栄養素の影響
Project/Area Number |
19K11376
|
Research Institution | Nagoya Gakuin University |
Principal Investigator |
城 由起子 名古屋学院大学, リハビリテーション学部, 准教授 (30440663)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 腸内細菌 / 痛覚感受性 / 性差 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年~2020年度の研究目的は健常成人および慢性疼痛患者を対象に腸内細菌叢組成、摂取栄養素と痛みの関係を明らかにすることとしていた。健常成人を対象とした腸内細菌叢と痛みの関係については、82名を対象に測定を行った。その結果、健常者では痛覚感受性と腸内細菌叢組成に関係性がある可能性が認められた。特に、腸内細菌叢組成は、中枢での疼痛調節機能よりも末梢での痛覚感受性と関係していると考えられた。 2021年度はこれらの関係性の性差について再解析を進め、男性では痛覚感受性とFirmicutesu門やBacteroidetes門の保菌率との間に関係性を認めた(Pain Med. 2021 Jul 25;22(7):1522-1531. )。一方、女性では腸内細菌の多様性との間に関係性を認めた(Anesth Pain Med. 2022 April; 12(2):e12248)。 一般に女性の方が痛みに弱く、また疼痛疾患の有訴率も高いことが知られており、こういった性差にも腸内細菌叢組成が影響している可能性が伺われる。 慢性疼痛患者を対象とした研究については、150名の測定を終え現在解析、論文執筆中である。 2021年度の研究目的であった運動による鎮痛効果(exercised induced hypoalgesia: EIH)と腸内細菌叢組成の関係および継続的運動介入による痛覚感受性変化と腸内細菌叢組成の関係については30名を対象に実験を行った。その結果、EIHはActinobacteria門保菌率と関係している可能性が認められた。一方、6週間の継続的な運動介入を行っても痛覚感受性、腸内細菌叢組成ともに明らかな変化は得られなかった。これは若年健常者を対象としたことによる天井効果かもしれない。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
慢性疼痛患者の腸内細菌叢組成データ収集において不備検体が多く、当初予定よりも必要数を収集するのに時間を要した。そのため、データ解析、論文執筆を2021年度までに終えることができなかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
慢性疼痛患者の腸内細菌叢組成と痛みの関係について収集したデータの解析を行う。また、腸内細菌叢組成に関して慢性疼痛患者と健常者との相違を調べる。これらの結果について論文を作成し、本研究を終了する予定である。
|
Causes of Carryover |
収集したデータの解析および論文執筆を2021年度内に終えることができなかった。 2022年度はデータ解析や論文投稿、学会発表にかかる費用として助成金を使用する予定である。
|