2019 Fiscal Year Research-status Report
慢性疼痛に対する痛みの情動的側面からの治療手段の開発
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19K11381
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Research Institution | Kio University |
Principal Investigator |
前岡 浩 畿央大学, 健康科学部, 准教授 (00454801)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 痛み / 情動 / 治療手段 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,健常者および慢性疼痛者を対象に,不快感や不安感といった痛みに伴い起こる情動的側面にアプローチし,痛みの軽減を図る新たな治療手段の開発を目的とすることである.そして,より臨床現場で簡便に導入することも考慮し,タブレット型端末のみ使用した治療手段の開発を目的とする.本研究での最大の特徴は,本アプローチが対象者のみで能動的に実施可能な点である.これにより入院中あるいは自宅など,さまざまな場面で簡便に使用できる可能性がある. 令和元年度は,健常成人を対象に予備実験を実施した.対象者の左前腕内側部に痛み刺激を加えるのと同時に,タブレット型端末に痛みや不快感を惹起させる情動喚起画像を視覚刺激として提示した.情動喚起画像は,実際の痛み刺激部位に類似した左前腕内側部の画像を選択した.その際のアプローチは,単に画像の観察群(コントロール群),画像内の痛み部位が自動的に消去される画像の観察群(自動消去群),画像編集ソフトを使用し対象者の右示指で自らが情動喚起画像内の痛み部位を擦り消去する群(自己消去群)の3群とした.評価項目は,痛み閾値と痛み耐性,情動喚起画像および痛み刺激の強度と不快感,画像提示中の痛み刺激部位の強度,不快感,不安の程度,心電図の測定から自律神経機能について評価した.これらについて,使用機器の購入および予備実験を実施し,自己消去群について有効性が示唆される傾向は認めたが準備段階でとどまる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
令和元年度は,健常成人を対象に痛みの情動的側面に対する治療手段について検証するため,実験機器の購入および予備実験を実施し,有効性が示唆される傾向は認めた.しかしながら,実験機器の納期に時間がかかったこと,実験方法など一部修正が必要なこと,コロナウィルス感染の影響などから準備段階でとどまっていることより「遅れている」と判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度以降は,実験環境はすでに整っており,令和元年度で実施した予備実験から判明した実験方法を一部修正し,健常者および慢性痛者を対象に痛みの情動的側面に対する有効性と鎮痛効果について検証する.
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由として,予定していた研究成果発表のための学会への参加において,データが学会発表の水準に達しなかったための不参加やコロナウィルス感染症発生による自粛などにより,当初予定していた旅費が発生しなかったことが挙げられる. これらの金額と次年度以降に請求する研究費を合わせた使用計画として,令和元年度に不参加となった学会を含め,研究成果発表のための学会参加の旅費に使用すること,被験者の謝金として使用することなどを計画している.
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