2023 Fiscal Year Research-status Report
慢性疼痛に対する痛みの情動的側面からの治療手段の開発
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19K11381
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Research Institution | Kio University |
Principal Investigator |
前岡 浩 畿央大学, 健康科学部, 准教授 (00454801)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 慢性腰痛 / 情動 / 治療手段 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,慢性腰痛者(非特異的慢性腰痛および特異的慢性疼痛)を対象に,痛みに関連した不安感や不快感といった情動的側面から痛みの軽減を図る新たな治療手段の開発が目的である.本研究の特徴の一つとして,臨床現場でも簡便に導入可能であることを考慮し,使用する機器はタブレット型端末のみでの開発を目的としている.さらに本研究の特徴としては,対象者が自ら一人で能動的に実施可能な点が挙げられる.これにより入院中あるいは自宅など,さまざまな場面で簡便に導入できると考える. 令和5年度に予定していた内容は,令和4年度に実施した痛みの情動的側面に対する有効な治療手段の検証で実施した同様の研究デザイン(ABABシングルケースデザイン)で対象者を追加して検証することであった.結果として,令和4年度とほぼ同様に,タブレット型端末を使用した本アプローチは非特異的慢性腰痛者に対し有効性を示す結果が認められた.しかしながら,特異的慢性腰痛者への治療効果の有無について完全に否定するデータを示すことは困難であった.これらの結果を踏まえ,さらに対象者を追加し,統計学的検証を実施する必要があると考える.したがって,今年度は引き続き対象者を追加し,詳細に検討する予定としている.令和4年度の研究結果については,令和5年度に国際学会(16th Asian Confederation for Physical Therapy Congress 2023)にて報告を実施した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和5年度は慢性腰痛者(非特異的慢性腰痛者および特異的慢性腰痛者)を対象に,令和4年度から引き続き,ABABシングルケースデザインによる検証を実施している.結果については国際学会で報告も実施した.しかし,令和6年度は対象者をさらに追加し,統計学的検証を実施する必要があるため,「やや遅れている」と判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度に非特異的慢性腰痛者および特異的慢性腰痛者に対するABABシングルケースデザインによる検証は実施し,結果が得られている.測定データも蓄積されつつあるが,特異的慢性腰痛への治療効果の可能性を完全に否定するデータを示すことは困難であった.したがって,令和6年度は対象者をさらに追加して検証し,慢性腰痛における本アプローチの適応について統計学的検証を実施し,その有効性を見極める.
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由として,謝金等が発生しなかったことと研究成果を報告した学会以外の参加予定の学会が業務の都合により困難となり,旅費等が発生しなかったことが挙げられる.
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