2020 Fiscal Year Research-status Report
経頭蓋直流電気刺激が脳卒中後の神経可塑性に関連する生化学的因子に与える効果
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19K11382
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
伊藤 英明 産業医科大学, 医学部, 講師 (30609201)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松嶋 康之 産業医科大学, 医学部, 准教授 (10412660)
佐伯 覚 産業医科大学, 医学部, 教授 (20269070)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 脳卒中後片麻痺 / 脳由来神経栄養因子 / 遺伝子多型 / 成熟型 / 前駆体型 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年3月に当大学臨床研究審査委員会にて承認を得て、さらに2020年10月に他施設(戸畑リハビリテーション病院)でも実施できるように承認を得た(研究課題名:脳卒中後片麻痺の改善と生化学的因子との関連についての研究)。 神経可塑性に関与する因子として脳由来神経栄養因子(BDNF)があり、BDNFはさらに成熟型と前駆体型に分けられる。成熟型は神経新生や発達に関与し、一方で前駆体型はアポトーシスを誘導する作用を持ち、成熟型とは相反する作用を持つとされている。本研究の目的として脳卒中後の片麻痺改善におけるこれらの生化学的変化を検討し、片麻痺改善のメカニズムの解明につながる可能性を考えている。 本研究では亜急性期と慢性期について検討を予定している。発症から4週間以内の亜急性期脳卒中については片麻痺の改善と血中の前駆体型BDNF,成熟型BDNF、細胞外の変換酵素である組織プラスミノーゲン活性化因子(t-PA), マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)-9との関連およびBDNF遺伝子多型による相違について検討することとした(30症例目標)。 また発症6か月以降の慢性期脳卒中については経頭蓋直流電気刺激(障害側一次運動野への陽極刺激 2mA, 20分間, 5日間)による片麻痺の改善と神経可塑性に関連する上記と同様の生化学的因子の変化および遺伝子多型による変化の相違について検討する(30症例目標)。 亜急性期については6症例、慢性期については2症例の介入が終了しており、今後症例数を積み重ねていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究開始後から亜急性期、慢性期ともに順調に症例があつまっており、おおむね順調に進んでいると考えている。また亜急性期については他施設(戸畑リハビリテーション病院)に協力をいただけることになったため、今後症例を増やすことが可能と考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も倫理審査の研究計画書に沿って、同意を得られた症例に対して研究に参加していただく予定としている。COVID-19により一時症例が少なくなったが、現時点では順調に進められると考えている。亜急性期、慢性期ともに30症例を目標にしたい。 それぞれ30症例が集まった時点で、神経可塑性にかかわる生化学的因子について濃度測定を行い、解析する予定である。
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Causes of Carryover |
研究参加者が予定を上回った場合に、早期に血中濃度を測定に提出する予定であったが、予定通りであるため次年度に繰り越した。また、COVID-19の影響で国内外の学会参加や情報交換ができずに予算が執行できなかった。 次年度はBDNF遺伝子多型の検索や各生化学的因子の血中濃度の測定に予算を使用する予定である。
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