2021 Fiscal Year Research-status Report
VR技術を用いた半側空間無視のリハビリテーション手法の開発
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19K11387
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
和田 直樹 群馬大学, 大学院医学系研究科, 教授 (40306204)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
弓仲 康史 群馬大学, 大学院理工学府, 教授 (30272272)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | Virtual Reality / 半側空間無視 / リハビリテーション |
Outline of Annual Research Achievements |
脳卒中後遺症による高次脳機能障害は患者のADLを著しく阻害する。運動障害に対するリハビリテーションは早期からの集中訓練が推奨され実践されているが、高次脳機能障害に対するリハビリテーションは未だ十分なエビデンスが認められていない。半側空間無視とは大脳半球病巣と反対側に提示された刺激に対して、発見、報告、定位、反応することが障害される病態をいう。脳卒中後のリハビリテーションにおいて、左半身麻痺に高次脳機能障害を合併する症例の機能予後が不良であることは経験的に知られている。 リハビリテーション医療の分野では近年、VR (Virtual Reality)の手法を用いた手法が開発され効果を上げている。現在主流となっているのは非没入型VRという家庭用ゲーム機などを用いてモニター上の画像をみながら行う手法が主流となっている。この手法は運動機能の改善には有効であるが、空間認知の障害などの高次脳機能障害には効果は期待できない。そこで我々は、没入型VRというHead Mount Display (HMD)を装着した仮想空間の中で、所謂「脳をだます」という手法を用いて空間認知の障害である半側空間無視の治療ができないかということを検討し、本学理工学部と協力し、HMDを用いたリハビリテーションアシストシステムを開発した。これはセンシングされた実際の手の動きをVR空間内に投影し、その中で物体を動かす操作を行うものである。手の動きと空間内のVR映像は調整が可能で、映像上で動きをアシストすることも、動く範囲を制限することも可能であり、また左右にずらすことも可能である。 本研究は、脳卒中後の高次脳機能障害に対して、“VR技術を用いた半側空間無視のリハビリテーション手法の開発”を行うことを目的とする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在、半側空間無視に対する既存の評価法であるBehavioural Inattention Test(BIT)行動性無視検査との比較を行うために、没入型Virtual Reality (VR)システムを開発した。このシステムではHMDを装着し、仮想空間において三次元空間における半側空間無視の評価を行なうことが可能となる。 このシステムを用いて「没入型VRの手法を用いた線分二等分試験の身体近傍空間と身体外空間における半側空間無視の評価」という研究課題名で本学の臨床研究審査委員会にて2021年2月24日に承認され、対象の組入を開始した。 新型コロナウイルスの影響による外来受診制限の影響で対象患者の組入が若干遅れているが、現在までの症例では、対象が示した線分の主観的中央の位置は、身体近傍空間よりも身体外空間の方が右側へ偏位していることが判明している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後症例を蓄積し論文として結果を発表する方針である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響で、国内国外学会での発表ができず旅費を支出できなかったため。今後国内学会の参加が可能となり次第発表を行う予定であり、その際に旅費として計上する予定である。
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Research Products
(1 results)