2020 Fiscal Year Research-status Report
Basic research for rehabilitation: a focus on roles of basal ganglia and cerebellum in behavioral flexibility
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19K11389
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
米田 貢 金沢大学, 保健学系, 准教授 (70334787)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
少作 隆子 金沢大学, 保健学系, 教授 (60179025)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 行動柔軟性 / 運動学習 / ドーパミン / 習慣型学習 / 順序学習 / オペラント / 小脳 / 大脳基底核 |
Outline of Annual Research Achievements |
行動の柔軟性の神経基盤の解明はリハビリテーション技術の確立に必要である。本研究では、我々が開発したマウスの順序及び運動学習モデル「3レバーオペラント課題」を用いている。「3レバーオペラント課題」は、3つのレバーそれぞれと餌の関係を学習させる①1レバー課題、3つレバーの順序を学習させる②3レバー課題、さらに②で学習した順序を逆転させる③リバース3レバー課題からなる。 本年度は、以下3つの実験を行った。 (1)学習障害を示したドーパミンD2受容体ノックアウト(D2-KO)マウスに対して、様々な学習段階づけで、3レバー課題の学習が可能か検討した。行動レベルでの学習を阻害している特徴の幾つかが明らかになり、今後の新しい研究に発展が期待できる結果が有られた。詳細については公表準備中である。(2)小脳LTD(長期抑圧)が障害されるCbln1ノックアウト(Cbln1-KO)マウスを自家繁殖し、研究に取り掛かった。さらに(3)本研究のD2受容体ノックアウトマウス、過去の科学研究費助成事業で実施した、カンナビノイドCB1受容体ノックアウト(CB1-KO)マウス、2AG合成酵素のDGLα欠損(DGLα-KO)マウス、テオブロミン摂取(TB)マウスの3レバー課題データのパターンを機械学習による解析に取り掛かった。 今後、学習を促進(TB)/障害(D2-KO、CB1-KO、DGLα-KO)マウスの行動選択の特徴を明らかにすることで、障害マウスの治療方法の検討が期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1)ドーパミンD2受容体のノックアウトマウスの実験では、1レバー課題を学習できるのに対して、3レバー課題では障害されることが明らかになった。2)そこで、障害マウスが別の学習戦略で課題を獲得できるのか調査した。現在も進行中である。この点が明らかになれば、障害に対する行動レベルの治療戦略の検討が可能となる。新たな研究に発展が期待できると同時に、大脳基底核系に対するドーパミン系の役割を検証できることに繋がる。 以上より、研究計画に加え、新たな発展的テーマを見出すことができたことから、総合評価として、「2.おおむね順調に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、スムースな動作など繰り返しの練習で体得される運動記憶の形成に必要な細胞レベルの生理機能である小脳LTD(長期抑圧)の役割について、Cbln1ノックアウトマウスで調べる。 また、学習を促進あるいは阻害する行動特性を明らかにしていく予定である。
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Causes of Carryover |
研究に使用したドーパミンD2受容体遺伝子欠損マウスの系統維持のため精子凍結保存を実施予定。実施は金沢大学動物実験施設に委託するが、年度内の実施調整が出来なかったため、次年度使用額が生じた。次年度使用額と令和3年度以降に請求する助成額は、実験消耗品の購入、実験補助者の謝金、実験動物の精子凍結保存の委託費等に使用予定である。
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Research Products
(2 results)