2019 Fiscal Year Research-status Report
認知機能のリアルタイム個人差判別によるテイラーメード脳卒中リハビリ環境の確立
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19K11400
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
櫻田 武 立命館大学, 理工学部, 助教 (40588802)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 運動学習 / 注意 / 個人差 / 脳波 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,個人の認知機能特性をリアルタイムで判別する手法を確立し,運動機能リハビリテーションにおける患者への負担軽減と訓練効果最大化を両立した環境の提案を目指している.このような個々人に着目したテイラーメードな訓練プロトコルの確立により,患者の早期社会復帰につなげていく. 本年度は,運動学習課題実施のための系構築および個人差判別のために利用する脳波(定常状態体性感覚誘発電位・定常状態視覚誘発電位)を誘発するための刺激呈示装置の開発を主に進めた.具体的には,振動刺激装置としてブラシレスDCモータを利用した振動素子を開発した.これにより特定の周波数における電気的ノイズを抑えることに成功し,より目的の脳波を検出しやすい環境の構築につなげられた.一方,視覚刺激装置としては高輝度LEDを格子状に配列し,それらをArduinoにより任意の周波数で点滅させる制御系を構築した.振動装置・視覚刺激装置はいずれも小型軽量に設計されており,実験系の任意の場所へ柔軟に設置できるよう工夫されている.また,各刺激装置の筐体は3Dプリンタで作成しており,コストも抑えた開発に成功している. 定常状態体性感覚誘発電位に関しては,本振動刺激装置を用いて誘発できることを既に確認しており,現在データ数を増やすことで安定的に目的の脳波が観察できることを確認する実験を進めている.定常状態視覚誘発電位についても,順次開発した視覚刺激装置により誘発できることを確認していく予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
定常状態体性感覚誘発電位および定常状態視覚誘発電位を誘発するための振動装置および視覚点滅刺激装置の開発が完了した.さらに,これらの装置を用いて該当脳波が誘発されることが確認されている.現在は運動学習課題におけるパフォーマンスと,該当脳波の個人差の関係性を対応付けるためのデータ取得を進めており,リアルタイムに個人差を判別するための指標が確立されつつあることからおおむね順調に研究が進んでいるといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
健常者を対象としてさらに脳波に基づく個人差のデータ取得を進めていく予定である.これにより,より精度の高い判別手法の確立を試みる.さらに,健常高齢者や脳卒中患者への適用を見据え,できる限り負担の少ないプロトコルや実験セットアップの追及も併せて行い,実用性の向上を目指していく.
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Causes of Carryover |
計測データを整理するためのファイルや記録メディアの消費が少なかったため,次年度使用額が生じた.差額については今後実施する実験に関しての記録メディア購入に充てる予定である.
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Research Products
(4 results)