2021 Fiscal Year Annual Research Report
認知機能のリアルタイム個人差判別によるテイラーメード脳卒中リハビリ環境の確立
Project/Area Number |
19K11400
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
櫻田 武 立命館大学, 理工学部, 助教 (40588802)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 注意 / 個人差 / 定常状態感覚誘発電位 / 運動学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,個人の認知機能特性を見極めたうえで,効率的な運動学習・リハビリテーション訓練環境の提供を目指してきた.具体的には,運動中における注意の向け方に関して,身体動作に注意を向けるinternal focusと,外部環境に注意を向けるexternal focusがあることを考慮し,個々人にとってどちらの注意の向け方が適しているかを脳波により判別することで,最適な注意戦略の下で運動パフォーマンス向上が促進されることを目的とした. 以上のような個人の注意適正を判別するため,定常状態体性感覚誘発電位(Steady-State Somatosensory Evoked Potentials: SSSEP)および定常状態視覚誘発電位(Steady-State Visual Evoked Potentials: SSVEP)と呼ばれる律動的脳波に着目した.これらの脳波は感覚刺激に注意を向けることで応答が強まる特性を持つことから,個々人の注意機能特性を定量化するのに適しており,本研究での注意適正評価に用いた.その結果,internal focusによって運動パフォーマンスの向上が促進される個人においてはSSSEPの応答変調が生じやすく,一方でexternal focusによって運動パフォーマンスの向上が促進される個人においてはSSVEPの応答変調が生じやすい関係性が確認された. 本研究で得られた結果から,低次感覚野で観察される脳波に基づき,客観的に個人の認知機能特性を評価することが可能となった.今回用いた脳波は比較的信号強度が強いため,短い計測時間・少ない電極数でも評価可能であり,実用性が高い側面を持つ.今後,リハビリテーションやスポーツトレーニングの場面に適用し,現場での有用性も示していく.
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