2020 Fiscal Year Research-status Report
経口的喉頭機能温存手術後の音声・嚥下機能評価と機能障害予防への展開
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19K11406
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Research Institution | National Defense Medical College |
Principal Investigator |
谷合 信一 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 耳鼻咽喉科学, 助教 (80433598)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宇野 光祐 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 病院 耳鼻咽喉科科, 講師 (20464828)
荒木 幸仁 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 耳鼻咽喉科学, 准教授 (70317220)
塩谷 彰浩 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 耳鼻咽喉科学, 教授 (80215946)
冨藤 雅之 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 病院 耳鼻咽喉科科, 講師 (80327626)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 嚥下障害 / 音声障害 / 頭頸部癌 / 経口的咽喉頭部分切除術 / 予防訓練 |
Outline of Annual Research Achievements |
経口的咽喉頭部分切除術(TOVS)術後の嚥下障害の分析に関して、高解像度マノメトリー(HRM)と嚥下造影(VF)を用いて経時的変化の詳細な解析を行った。症例は、30歳代女性。左中下咽頭後壁の粘膜下腫瘤に対しTOVSを施行した。術前、術後17日、術後3か月でVFとHRMの測定を行い比較した。HRMでは、術後17日の中下咽頭部最大圧が23.0mmHgと顕著な低値を示したが、術後3か月では172.8mmHgと回復した。VFでは、舌骨移動距離に変化は認めず、喉頭挙上遅延時間(LEDT)が術後17日の時点で0.467秒と延長していた。術後17日で認められた顕著な中下咽頭部最大圧の低下は、TOVSによる咽頭収縮筋切除が影響しており、術後の瘢痕拘縮や嚥下訓練、食事摂取により咽頭収縮に代償機能が働き、嚥下に必要な咽頭圧が形成できるようになったと考えられた。 TOVS術前の予防的嚥下訓練について呼気抵抗負荷トレーニング(EMST)を用いた呼気訓練を実施し、下記の結果を得た。対象は、防衛医科大学校病院耳鼻咽喉科にてTOVS施行予定で術後嚥下障害のリスクが高いと判断された患者10名、全例男性で下咽頭癌、平均年齢は79.7±6.2歳であった。訓練はEMST150(Aspire社製)を用い、25回/日の呼気訓練を自宅で実施した。結果は、訓練施行率は平均96.3%、平均訓練日数は25.0日であった。最大呼気圧(平均)は訓練前94.3±38.1cmH2O、訓練実施後は109.5±40.8cmH2Oであり、訓練前後で有意差を認めた。最大吸気圧と舌圧には訓練前後で有意差を認めなかった。EMST訓練は自宅での練習であるが訓練施行率が高く、呼吸機能への効果を認め術前訓練として有効である可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COVID-19の流行により受診患者数の減少がみられ、対象患者数の確保が計画より遅れている。さらに音声機能検査に関しては、エアロゾル発生手技であり、症例を限定して実施している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、TOVS術後の嚥下機能解析について、症例数を増やしHRMとVFを用いた詳細な分析を進めていく。予防訓練に関しては、訓練による効果を訓練を実施していない過去の患者との比較を行う予定である。
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Causes of Carryover |
今年度購入を予定していた物品を次年度に回したこと、予定より購入費を節約することができたこと、COVID-19の影響により症例数が減少したためである。
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Research Products
(10 results)