2022 Fiscal Year Research-status Report
糖尿病および加齢による線維化が関節構成体に及ぼす影響
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19K11413
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
松崎 太郎 金沢大学, 保健学系, 助教 (10401910)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ラット / 加齢 / トレッドミル |
Outline of Annual Research Achievements |
実験動物として30匹のWistar系ラットを用い、60週齢まで飼育したものを対照群(n=8)と運動群(n=12)に分け、70週齢まで飼育したものを加齢群(n=10)とした。 運動群は動物用トレッドミルを用いて1日1回、10m/分、10分間の運動負荷を週5回行い、期間は10週間とした。実験期間終了後に膝関節を採取し、通常手技にてパラフィン包埋切片を作成した。対照群と加齢群は介入を行わずにそれぞれの週齡まで飼育し同様に標本を作製し膝関節の内顆中央部を通る矢状面で膝蓋下脂肪体および後部関節包を撮影した。撮影した画像について病理組織学的に検討するとともにImageJを用いて膝蓋下脂肪体および関節包全体の面積を算出し、それぞれの組織中における線維の占める割合を計測した。 【結果】膝蓋下脂肪体では先行研究と同様に全ての群において脂肪体組織内に線維組織の増生が観察されたが、膝蓋下脂肪体全体に対する線維組織の割合は運動群と対照群および加齢群では有意に線維組織の占める割合が少なく(p<0.05)、対照群と加齢群では差が見られなかった。後部関節包は先行研究と同様に全ての群において肥厚・線維化が観察されたが、関節包におけるコラーゲン組織の間隙が占める割合は運動群と加齢群で有意差がみられ運動群ではコラーゲン間隙が多いことが確認された。 【考察】これらの結果から、加齢による関節構成体の線維化は関節運動により抑制可能であることが示唆される。しかしながら強度や運動時間など、まだ不確定な要素も多くまた形態学的のみならず生化学的な影響についても今後研究を進める必要があると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
所属施設の都合(建て替えに伴う施設使用不可)および感染症予防のため実験を進めることができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
加齢による関節構成体の変化と、従来の研究で行って来た不動による関節構成体の変化は線維化として類似する部分があり、慢性炎症という概念で説明できる可能性が考えられる。 今後は軟部組織のみならず関節軟骨や骨などの検討および生化学的な変化についても研究を進める予定である。
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Causes of Carryover |
当初に参加を予定していた学会等の旅費を計上していたが、感染症蔓延により中止またはWebによる遠隔開催となり旅費が大幅に減少したため実験の遂行に必要な抗体等の薬品および器具などを前倒しで購入したが次年度使用額が生じた。残高および令和5年度に請求する助成金については消耗品などの経費に充てる予定である。
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