2021 Fiscal Year Research-status Report
手指に痛みない美容師の鋏の使い方を学習して手指の障害を予防する鋏練習装置の開発
Project/Area Number |
19K11419
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Research Institution | Saitama Prefectural University |
Principal Investigator |
梅舟 久美子 (笹尾久美子) 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 准教授 (30404932)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 豊太 (濱口豊太) 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 教授 (80296186)
鈴木 誠 東京家政大学, 健康科学部, 教授 (80554302)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 障害予防 / 鋏練習装置 / 開発 |
Outline of Annual Research Achievements |
美容師らが用いる鋏は片側の刃のみを動かすように設計されており,刃を閉じるときに母指を内転させ,開くときは柄の自重を利用している.このため,美容師らの鋏開閉動作で主に働く筋として母指内転筋や短母指屈筋などの母指球筋(ADP)が挙げられる。また,美容師らは髪を切る際に手関節を撓屈位に保ちながら鋏開閉動作を行う.この動作で主に働く筋は、橈側手根伸筋(ECR)や総指伸筋,長母指伸筋などである.本研究では,ADPおよびECRに着目し,これまでに鋏使用初学者のデータ収集を行った.先行研究により手根管症候群(carpal Tunnel Syndrom:CTS)の有病率が男性よりも女性に高く,女性ホルモンとの関連が推定されていることから,被験者は女性に限定し,エディンバラ利き手テストにより右利きと判断された計20名(21±4歳)のデータを収集した.被験者は右肘を机に置いた状態で椅子に着座し,肩関節45度外転肘関節90度屈曲,前腕回内,手関節30度背屈位にてはさみの開閉動作 (空切り) をPCから流れるメトロノームのテンポ(2.0 Hz)に合わせて行わせた.開閉の際は,鋏の刃を30度まで開くよう指示した.被験者のADPとECRの筋腹に表面電極を配置して最大随意等尺性収縮 (MVIC)とはさみ開閉動作 (動作頻度2Hz, 持続100秒) の筋電位を測定した.得られた表面筋電図(sEMG)は振幅確率密度関数 (APDF)で解析した.また,各筋のsEMGよりRMSを算出し, MVICを基準値として正規化して%MVEを求めた.さらに, APDF解析により, %MVE値の記録時間全体の低出力域 (P0.1), 中域 (P0.5), 高出力域 (P0.9) を算出した. 2021年度は①得られたデータの分析,②論文投稿並びに学会発表,③試作した鋏装置の特許の取得を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COVID-19の影響により一時研究活動に制限が生じ,鋏操作に熟達した上肢に痛みのない美容師の鋏技能データ収集の調整が困難となり,予定通りデータ収集が進めなかったことに由来する.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度中に鋏操作に熟達した上肢に痛みのない美容師の鋏技能のデータ収集を行い,理美容鋏の使用に慣れていない鋏使用初学者の鋏技能と鋏操作に熟達した上肢に痛みのない美容師の鋏技能について電気生理学的に分析し,違いを明らかにする.そのデータを基に鋏装置の開発を目指す.
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Causes of Carryover |
COVID-19に影響により研究活動に支障が生じたこと等から,鋏操作に熟達した上肢に痛みのない美容師の鋏技能のデータ収集実施まで至らなかったことにより,余剰金が発生した.次年度はデータ収集を行うため,その謝金ならびに鋏装置開発などに充てる.
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Research Products
(3 results)