2019 Fiscal Year Research-status Report
徒手療法による情動と行動変化の脳内メカニズムの解明-リハビリの意欲向上への応用
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19K11423
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Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
下重 里江 国際医療福祉大学, 基礎医学研究センター, 講師 (10433624)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 快情動 / ラット / 脳波 / 超音波発声 / 側坐核 / 触刺激 |
Outline of Annual Research Achievements |
ラットは快情動状態にあるときに50 kHz帯域の超音波(50-kHz USV)を発声する。50-kHz USVには快情動中枢が関与することが知られている。しかし、50-kHz USVを生じさせる脳内ネットワークの詳細については不明である。本研究代表者らは実験者の徒手による触刺激によってもラットが50-kHz USVを出し、快情動中枢がその発声に関与することを明らかにした。本研究では、ラットが触刺激によって実際に快情動状態にあるかを行動実験にて確認し、快情動モデルを構築する。続いてこの触刺激による快情動モデルを用いて、快情動状態の脳内ネットワークの解明を目指すことを目的とする。 令和元年では、触刺激が50-kHz USVにおよぼす影響の詳細を明らかにするために、馴化していないラットを用いて、触刺激を行った際に何日目から、50 kHzが増加するかを検討した。触刺激を行った初日からラットは50-kHz USVを大量に発した。さらに、実験者の手にラットが近づくまでの時間(快情動の強さの指標)は、触刺激二日目から顕著に短くなり、ラットが触刺激を短時間で報酬として受け取っている可能性が示された。本研究で用いている触刺激方法には触刺激、前庭刺激、固有感覚刺激が含まれるため、どの刺激のモダリティーが50-kHz USVに重要であるかを検討し、触刺激が最も50-kHz USVに有効であることを明らかにした。現在、触刺激時の脳内ネットワークを明らかにすることを試みるために、脳波の解析準備を開始した段階である。現在、ヘッドステージとプレアンプを有線でラットにセットし、触刺激中に安定した記録ができるかを検討している段階である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の研究計画では、触刺激時の50 kHz超音波発声の脳内メカニズムについてFast-scan cyclic voltammetry (FSCV)を導入する予定であった。しかし、予算不足によりFSCV機器購入ができなかったことから、脳波測定実験に切り替えた。実験方法の切り替えによる装置の新たな検討が必要になったため、当初の予定より実験が遅れた。現在は、脳波解析の記録が安定してとれることを確認でき、今後本格的にデータを取ることができる段階に入った。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度では、まず令和元年度に得られた成果を論文として投稿するとともに、学会において発表する。次に、触刺激時の超音波発声とglobal脳波の関連について解析する。global脳波と超音波発声の関連が示された場合、続いて、特定の脳部位よりlocal field potentialを記録し、脳波の発生に関わっている責任部位を検討する。以上の検討より、快情動行動時の脳波の変化と超音波発声の関連から、快情動状態での脳内ネットワークの解明を試みる。
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Causes of Carryover |
本研究成果を国際誌(JPS)に投稿する際の投稿料として使用することを計画した。投稿時の英文校閲費と投稿料に充当することを検討したため。
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Research Products
(14 results)