2020 Fiscal Year Research-status Report
徒手療法による情動と行動変化の脳内メカニズムの解明-リハビリの意欲向上への応用
Project/Area Number |
19K11423
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Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
下重 里江 国際医療福祉大学, 基礎医学研究センター, 講師 (10433624)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 快情動 / 超音波発声 / 報酬 / 動機付け / リハビリテーション / 側坐核 / 脳波 / 行動 |
Outline of Annual Research Achievements |
徒手療法では、筋緊張緩和、組織血流改善などの身体的効果以外に不安感減少やリラクセーションなどの精神的効果も臨床上重要な知見として経験する。しかし、その脳内機序は明らかではない。本研究代表者は、徒手療法の中でも特に触刺激に着目し、触刺激が情動機能に与える影響を検討した。これまでに、ラットを特別な肢位に保った状態で触刺激を行うと快情動中枢である側坐核のドーパミン放出が増え(Shimoju et al., 2018)、快情動の指標である50kHz超音波発声が大量に誘発されることを明らかにした(Shimoju et al., 2019)。本研究代表者の開発した触刺激法では、従来の報告にはない新たな超音波発声のサブタイプがみられたことから、これまでに発見されていない快情動状態を惹起する可能性が考えられる。本研究では、この触刺激法による50kHz超音波発声のサブタイプが中脳辺縁系ドーパミン神経系を介して生じるか、この触刺激が情動・覚醒と関わる脳神経活動の変化をもたらすか、快情動関連行動を誘発するかを明らかにし、触刺激が情動機能に与える影響を解明することを目的とする。 令和2年度では、前庭刺激や軽いタッチよりも皮膚へのストロークを伴う触刺激が50kHz超音波発声の誘発にもっとも効果的であることを英文誌に報告した(Shimoju et al., 2020)。さらに、触刺激誘発性50kHz超音波発声のサブタイプが中脳辺縁系ドーパミン神経系を介することを明らかにした。触刺激時の脳神経活動の変化を明らかにするために脳波のスペクトル解析に着手した。触刺激では刺激後の陽性情動関連行動(歩行、リアリング)が増加し、恐怖・不安関連行動(フリージング)がみられないことを確認した。令和2年度の以上の結果の一部を論文として発表するとともに(Shimoju et al., 2021)、国内学会にて発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍による時間的制約に伴い、研究活動が抑制されたことにより、当初の研究計画通りに実験を遂行できなかったが、研究結果を英文誌に投稿した。現在、記録した脳波の解析方法の検討と行動記録実験に着手した。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度では、まず令和2年度に得られた成果を論文として投稿するとともに、学会において発表する。次に、触刺激時の超音波発声と脳波の関連について解析し、快情動行動時の脳波の変化を明らかにする。さらに中脳辺縁系ドーパミン神経系ネットワークの関与を明らかにするために、深部脳波を記録して、触刺激時の超音波発声に関わる脳内の核を検討し、脳内ネットワークを明らかにする。
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Causes of Carryover |
本研究成果を国際誌に投稿する際の投稿料として使用することを計画し、投稿時の英文校閲費と投稿料に充当することを検討したため。
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