2021 Fiscal Year Annual Research Report
徒手療法による情動と行動変化の脳内メカニズムの解明-リハビリの意欲向上への応用
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19K11423
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Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
下重 里江 国際医療福祉大学, 基礎医学研究センター, 講師 (10433624)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 快情動 / モチベーション / 超音波発声 / 触刺激 / 情動行動 / 脳波 / 側坐核 / リハビリテーション |
Outline of Annual Research Achievements |
徒手療法では、組織血流改善などの身体的効果のみならず、リラクセーションなどの精神的効果がある。しかし、それらの脳内機序は明らかではない。研究代表者は、ストロークを伴う特殊な触刺激が快情動中枢である中脳辺縁系ドーパミン神経系の活動を促進することを明らかにした。そこで、この特殊な触刺激によるラット情動状態を快情動モデルとして位置づけることが可能か、可能であれば、この触刺激を用いて快情動状態を起こす脳機能を解明することを試みた。研究代表者の行った触刺激は快情動中枢である中脳辺縁系ドーパミン神経系の主要核(側坐核)におけるドーパミン放出を増加させることを明らかにした。さらに、この触刺激は、ラットが快情動状態になっていることを示す指標となる50 kHz帯域の超音波(50-kHz USV)発声を大量に誘発した。 令和元年では、触刺激が実際に快情動状態を示す接近行動を誘発するかを確認した。さらに、触刺激、前庭刺激、固有感覚刺激が含まれるため、どの刺激のモダリティ―が50-kHz USVに重要であるかを検討し、触刺激が最も50-kHz USVに有効であることを明らかにした。令和2年度では、触刺激が確かに快情動をラットに誘発していることを情動行動測定実験より検討し、触刺激では刺激後の陽性情動関連行動(歩行、リアリング)が増加し、恐怖・不安関連行動(フリージング)がみられないことを確認した。当該年度では、さらに、快情動状態での脳活動状態を脳波記録より明らかにした。触刺激が情動機能に与える影響とそのメカニズムを検討することは、徒手療法を用いるリハビリテーションにおいても触刺激がリハビリ意欲向上に役立つ可能性とその根拠を示唆するものである。以上の結果をまとめ、国際学会(SfN2021)および国内学会で発表し、最終年度に論文にまとめて国際誌(Behav Process)に投稿した(査読中)。
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