2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K11450
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
木目 良太郎 東京医科大学, 医学部, 講師 (90366120)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 近赤外線分光法 / 骨格筋 / 皮下脂肪 / 光学特性 / 散乱係数 |
Outline of Annual Research Achievements |
近赤外線分光法(NIRS)を用いて筋機能を評価する際には皮下脂肪の影響を補正する必要があるにもかかわらず,その殆どの論文で皮下脂肪厚の影響が補正されていない.そこで本研究では,測定対象領域(皮下脂肪も含めた筋組織)の散乱媒質が個体間で均一化するように,予め設定した散乱係数の基準値とほぼ同値となるように脂肪ファントムを皮膚上に貼付した状態の組織酸素濃度変化を近赤外線時間分解分光法(TRS)を用いて計測し,筋組織での酸素の取り込み能力の定量的評価を行う.この方法では個体間における光散乱強度の影響を受けないので,運動時における筋組織酸素濃度の定量的計測が可能になると考えられる. 2020年度は、新型コロナウイルス感染症の影響で、研究室内でヒトを対象とした実験の実施が非常に困難な状況であった。学外からの入校が厳しく制限されたこともあり、今年度は研究室内のメンバーを対象とし実験を行った。まずは、皮下脂肪厚と散乱係数の関係について調べた結果、有意な正の相関関係が得られた。次に、脂肪濃度20%の脂肪層ファントム(厚さ4 mm)を作成し、その脂肪層ファントムを皮膚上に貼付した状態で光学特性を検討したところ、脂肪層ファントムを貼付した方が散乱係数が有意に減少した。散乱物質である脂肪層ファントム貼付したにもかかわらず散乱係数が減少した原因としては、送受光部と皮膚上に脂肪層ファントムを挟んだことで、その距離(4 mm)が原因ではないかと考えた。脂肪層ファントムを用いると、どうしてもプローブと皮膚上に距離が生じてしまい、結果として散乱係数が減少するので、TRSの送光部と受光部のホルダー内に脂肪層ファントムを入れ込んで検討したところ、脂肪層ファントムを入れ込んだ方が散乱係数が増加した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
概要でも説明したが、2020年度は新型コロナウイルス感染症の影響で、4, 5月は学内に入校できなかった。6月から学校には入れるようになったが、感染症予防ということで、特に研究室内でヒトを対象とし運動が伴う実験の実施が非常に困難な状況になった。学外からの入校が厳しく制限されたこともあり、今年度は研究室内のメンバーを対象とし実験を行わざるを得なかった。また、今年度から新たにリモート講義が導入されたことで、その準備に多大な時間と労力を要してしまい、研究のエフォートが大幅に減少してしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年5月現在、東京に非常事態宣言が発出されている関係で、学外からの被験者募集を停止している状況である。また政府からは在宅勤務も強力に要請されている関係で、今のところはヒトを対象とした研究室ベースの実験計画が全く立たず、今後もしばらくは実験のペースを大幅にスローダウンせざるを得ない状況である。 しかしながら、緊急事態宣言が解除になったら速やかに本実験をスタートさせ、よりスムーズに実験が進むように、しばらくは教室内のメンバーを対象として予備実験を何度も行い、出来る範囲で引き続き実験の準備を行う。
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Causes of Carryover |
2020年度は新型コロナウイルス感染症の影響により、研究室内でヒトを対象とした実験が非常に困難な状況になったことで、実験の消耗品が予定よりも少なかった。また、学外からの入校が厳しく制限されたこともあり、学外の被験者を対象とした実験が殆ど出来ず、被験者へ謝金を支払う機会が少なかった。また、国内や海外での発表も殆どがリモートになってしまい、学会旅費として計上していた予算も使う機会が著しく減少した。
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Research Products
(7 results)