2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19K11450
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
木目 良太郎 東京医科大学, 医学部, 講師 (90366120)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 近赤外線分光法 / 散乱係数 / 平均光路長 / 自転車運動 / 筋酸素動態 |
Outline of Annual Research Achievements |
運動時における光強度の変化は散乱ではなく主に吸収に依存していることが既に分かっていることから、実験開始前に光散乱強度を標準化することで、筋組織酸素濃度の定量的計測が可能になると考えられる。昨年度までに我々は、光散乱強度を標準化するために「シリコン」を用いた基礎的な実験を繰り返し実施したが、脂肪層ファントムを装着しているにも関わらず散乱係数が減少するという意外な結果が得られた。その後、散乱係数をコントロールするために脂肪層ファントムの厚さや脂肪濃度を色々と試したが、脂肪層ファントムの脂肪量を増やすとファントムが固まりにくくなることで適切な厚さにスライスしにくくなり、逆に脂肪量を減らすとスライス厚が厚くなることで平均光路長が延長し、測定領域が変わってしまうという現象が起こってしまい、脂肪層ファントムによる光散乱強度の補正を当該期間中に実施することが非常に困難な状況になってしまった。 そこで最終年度は、散乱係数がほぼ同じ被験者を集めることで光散乱強度を標準化し、漸増負荷運動時における散乱係数および平均光路長の変化について検討した。その結果、負荷強度の増大に伴い、763nmの散乱係数は801nmおよび836nmの散乱係数に比べて有意に高い値を示した。また、平均光路長も801nmおよび836nmに比べて763nmの方が負荷強度の増大に伴い有意に短縮した。現在スポーツ医学や臨床医学で使用されている近赤外線分光法(NIRS)のほとんどが連続光であるが、連続光を用いたNIRSは散乱係数および平均光路長が一定であると仮定している。しかしながら、本研究の結果から、漸増負荷運動時においては特に763nmの散乱係数および平均光路長が変化することが確認された。
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