2022 Fiscal Year Annual Research Report
被災した地域スポーツクラブにおけるレジリエンスの担い手のライフヒストリー分析
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19K11453
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Research Institution | Chukyo University |
Principal Investigator |
吉田 毅 中京大学, スポーツ科学部, 教授 (70210698)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 東日本大震災 / 地域スポーツクラブ / 復興要因 / レジリエンスの担い手 / ライフヒストリー / サッカースポーツ少年団 / 車いすマラソンクラブ / 社会人サッカークラブ |
Outline of Annual Research Achievements |
東日本大震災で被災した地域スポーツクラブの復興要因の深層として、各クラブのレジリエンスの担い手(以下「担い手」)が当該クラブの復興のために尽力し得たのはなぜかを解明するために、最終年度は被災した2つのサッカースポーツ少年団(以下「スポ少」)の担い手、H市Bスポ少の監督T氏(1969年生まれ)及びI市Mスポ少の監督K氏(1985年生まれ)を対象に、インタビューを基にしたライフヒストリー分析を行った。両氏は「多くのことを学んだ」(T氏)という自らのサッカー経験をポジティブに捉えており、震災までそうした経験を活かし、各スポ少活動で「サッカーを通した教育」(T氏)のごとき指導に精を出していた。震災の頃はその成果があがり、当該活動の意義を大いに実感するようになっていた。そのため、被災しても当該活動が「ダメになるのは嫌だった」(K氏)のであり、「子どものため」(T氏、K氏)にも上記のような指導を続けたいと望んだ。このように両氏が各スポ少の復興に尽力し得た主な要因として、いわば子ども愛と、自らのサッカー経験を基にした指導願望が挙げられる。 本研究全体の成果は概ね次の通りである。前年度まで対象とした2つのスポ少の知見は上記スポ少と基本的に同様であった。車いすマラソンクラブの担い手(代表、1968年生まれ)は23歳で受傷した後、当該活動が「やりがい」「生きるための活力」となった。そのため代表になると、そうした良き活動を氏と似た境遇にある「仲間」も続けていけるように支えていきたいとの使命感を抱いた。それが震災の際も発揮された。社会人サッカークラブの担い手(主将、1981年生まれ)は、当該クラブに並々ならぬ思い入れを持つスポ少時代からの恩師との間に親密な関係性が築かれ、それを基にした揺るぎない恩返しの意により復興に尽力し得た。 なお最終年度は、本研究の成果の一部をまとめた論文2編を学会誌に投稿した。
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