2019 Fiscal Year Research-status Report
運動による自然リンパ球を介したアレルギー予防効果の検討
Project/Area Number |
19K11468
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Research Institution | Tohoku Gakuin University |
Principal Investigator |
坂本 譲 東北学院大学, 教養学部, 教授 (30316434)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 運動 / アレルギー / 自然リンパ球 / Th2免疫応答 / 免疫制御受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は運動によるアレルギー予防効果について検討するため、自然免疫に属しアレルギーや炎症応答に関与する自然リンパ球(innate lymphoid cells; ILC)に注目し、運動によるILCの分化や増殖、またサイトカイン産生能などの機能制御とその分子基盤を明らかにすること、さらに運動によるILCを介したアレルギーの制御について検討することを目的とした。本研究では、運動によるILCの分化や増殖、サイトカイン産生などの機能面からの検討と実際のアレルギーモデルマウスを用いて運動による病態発症の変化について検討を行い、運動によるILCを介したアレルギーの予防効果について細胞レベルと個体レベルの両面から明らかにする計画である。計画を遂行するにあたり令和元年度は以下の実験を実施した。 1)運動によるILCの分化や機能の制御を検討するため、まずC57BL/6(B6)野生型およびTh2免疫偏向モデルマウスに対し、回転ケージを用いた長期の自発運動を行わせ、運動の影響を検討した。その結果、両者の運動量に差異を観察した。 2)運動がILCs(ILC1、 ILC2、 ILC3)に及ぼす影響の探索として、自発運動実施期間終了後のマウスから血清、骨髄、脾臓及び小腸採取後に、骨髄、脾臓及び小腸粘膜固有層に局在する細胞を分離回収し、フローサイトメトリー解析による検討を行った。その結果、Th2免疫応答に関与する細胞で運動による影響が観察された。これらの結果は、運動が免疫細胞を介してアレルギー応答に関与する可能性を示唆するものであると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本助成により新規に導入したマウス自発運動に使用する回転ホイール型自発運動量測定装置のセットアップが予定通り順調に終了したこと。また、今年度に実施したマウス運動実験では、運動実施期間の設定、予定していた運動期間での実施,マウスの自発運動量のモニタリング、及び予定していたサンプルの回収、およびILC等のフローサイトメトリー解析の条件設定等が順調に進んだことから。
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Strategy for Future Research Activity |
上記結果から、運動によるTh2免疫応答制御への影響、特にILCの分化や機能の制御への影響を検討するため、前年度より進めているTh2免疫偏向モデルマウスでの長期自発運動実施後の骨髄、脾臓及び小腸粘膜固有層に局在するILCの分化増殖、サイトカイン産生をフローサイトメトリー解析、ELISA解析を行い評価すると共に、変化が観察されたILCサブセットについては運動による遺伝子発現の変化を評価する。 次に、運動による免疫機能修飾の候補となる液性因子の網羅的解析として、長期の自発運動実施前後に採取した血清を用いて、血中の抗体価(IgM、 IgG、 IgE)およびサイトカイン産生の変化をフローサイトメトリー解析およびELISA解析にて行う。さらに、ILCの機能制御に関わる免疫制御受容体の発現探索とシグナル解析のため、B6野生型マウスを用いてILCに発現するFc受容体、Ig様受容体などの先行研究をもとに予想される活性化型および抑制型免疫制御受容体、関連制御分子の探索及びILCに発現するToll受容体などのPRRを介した制御シグナルの解析を遺伝子発現解析およびフローサイトメトリー解析、ウェスタンブロット解析にて行い、運動によるILCの機能変化と関与する分子群を検証する計画である。
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Causes of Carryover |
令和元年度の助成金の使用については予定通り進んでいたが、年度末に進めた物品購入に際して物品の納品が所属機関の年度会計の締切に間に合わず、支払いが次年度の扱いとなったことが理由である。 令和2年度は当初の予定通り、計画している実験に必要な実験動物、試薬、検査キット及びディスポ消耗品等を購入するために使用予定である。
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