2022 Fiscal Year Research-status Report
カルニチンの持続的投与作用:全身の代謝と中枢神経系におよぼす分子機構
Project/Area Number |
19K11492
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Research Institution | National Institute of Fitness and Sports in Kanoya |
Principal Investigator |
吉田 剛一郎 鹿屋体育大学, スポーツ生命科学系, 准教授 (10274870)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀内 正久 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (50264403)
佐伯 武頼 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 客員研究員 (10056070) [Withdrawn]
牛飼 美晴 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 助教 (70232816)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | カルニチン / 脂肪酸代謝 / JVSマウス / 絶食 / 中枢神経系 |
Outline of Annual Research Achievements |
カルニチンの輸送体であるOCTN 2の変異により、カルニチンを全身的に欠損するモデル動物、juvenile visceral steatosis(JVS)マウスを用いて、自発行動におよぼすカルニチンの持続的投与作用について検討を行った。JVSマウスの自発行動量は、絶食により著しい低下を示す。自発行動量の低下したJVSマウスにカルニチンを1回投与すると自発行動量は増加し、投与したカルニチンが体内から消失した後も、その作用は少なくとも2日間にわたり続く。全身の代謝からみると、投与したカルニチンが体内から消失した後も、長鎖脂肪酸酸化レベルは亢進を示した。血中ケトン体は、自発行動量を決定する因子には至っておらず、長鎖脂肪酸酸化は、遊離脂肪酸、肝臓トリグリセリドのレベルに規定されてもいなかった。 JVSマウスの絶食による自発行動量低下については、中枢神経系におけるオレキシン神経活動の低下が関与する。視床下部外側野におけるオレキシン産生細胞は、グルタミン酸作動性神経活動により刺激される。それ故、JVSマウスの自発行動量に対するカルニチンの持続的投与作用について、アミノ酸の変化に着目し、LC-MSを用いて分析を行った。血液、脳、肝臓ともに、絶食により野生型マウスでは数種、JVSマウスでは多種のアミノ酸が低下を示した。絶食の条件下、カルニチン投与により増加を示したアミノ酸は、野生型マウスでは脳の2種、JVSマウスでは血液の4種、脳の3種、肝臓の2種であった。とくに、JVSマウスにおいて、カルニチン投与により血中オルニチンが増加したことは、尿素回路が改善されたことを示すと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
JVSマウスの自発行動に対するカルニチンの持続的投与作用について、とくに中枢神経系に関する実験において、研究の遂行に想定以上に時間を要したため遅れを生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
推進方策について大幅な変更はない。JVSマウスの自発行動に対するカルニチン投与の持続的作用について、全身の代謝に関しては脂肪酸代謝の調節に関わる因子について引き続き検討を行う。中枢神経系に関しては、アミノ酸の変化について詳細に検討を進める予定である。
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Causes of Carryover |
中枢神経系における実験について、アミノ酸分析の一部を次年度に実施することとなった。次年度の使用計画については、アミノ酸分析試薬を購入予定である。
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