2019 Fiscal Year Research-status Report
内因性カンナビノイドが増加する運動条件の探索 -ポジティブ感情を引き出す運動-
Project/Area Number |
19K11494
|
Research Institution | University of Nagasaki |
Principal Investigator |
飛奈 卓郎 長崎県立大学, 看護栄養学部, 准教授 (60509678)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 低強度運動 / 高強度運動 / 2-arachidonoylglycerol |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、運動による内因性カンナビノイドの血中レベルがどのような条件で増加するのか、またその変化がポジティブ感情の変化と関連するのかを調査することを目的としている。本年度は運動の条件として、低強度を50%乳酸閾値(LT)強度、LT強度、 中・高強度として血中乳酸が4mMに相当する(OBLA)強度と、OBLAと最大酸素摂取量に相当する強度の中間(OBLA-Max)、の4種類と、安静状態を合わせた5種類を用いた。運動時間は低強度が60分(採血は15分ごと)と、中・高強度運動は5分の運動を4回(採血は5分の運動が終了ごと)の20分とした。また運動終了10分後にも採血を行った。同時に気分、痛みや苦しさの評価としてvisual analog scaleと、質問紙によるポジティブ感情・ネガティブ感情の測定を行った。本研究では内因性カンナビノイドとして2-arachidonoylglycerol(2-AG)に焦点を当てており、その異性体である1-AGも分析して合計値(2-AG+1-AG)を体内での2-AG濃度として評価した。 50%LT強度の2AG+1AGの血中濃度は運動前と比較して15分後から運動修了10分後まで有意に高い値を示し、60分の2AG+1AGの血中濃度と主観的運動強度には負の相関関係を認めた。またOBLAとOBLA-Maxについて検討したところ、OBLAは運動前と比較して4回の運動のどれとも有意差を認めなかったが、OBLA-Maxでは1回目と2回目の運動後に運動前より有意に高い値を示した。またOBLA-Maxの運動後の2AG+1AGの血中濃度と息苦しさに負の相関関係を認めた。 これらの結果は、低強度運動での内因性カンナビノイドの血中濃度の増加は15分以内に起こる可能性を示している。また強度が高くなると5分といった短時間ででも増加が認められる可能性を示した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通りのプロトコールで研究をスタートすることができている。
|
Strategy for Future Research Activity |
2-arachidonoylglycerolの分析値で再検討したほうがよさそうな点があるため、その数値化を見直すとともに、対象者の運動経験や運動様式の違いが影響する可能性もあるため、今後の研究の検討材料とする。
|
Causes of Carryover |
予定していた消耗品や器具で譲り受けた物があり、それを優先して使用した。次年度の研究でも必要な消耗品や器具であるため、使用時に購入をする。
|
Research Products
(1 results)