2019 Fiscal Year Research-status Report
Psychoneuroendocrinological examination on the effect of Autogenic Training intervention for the stress of athletes
Project/Area Number |
19K11511
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Research Institution | Osaka University of Health and Sport Sciences |
Principal Investigator |
菅生 貴之 大阪体育大学, 体育学部, 教授 (60360731)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | アスリート / 起床時コルチゾール反応 / ストレス / 精神神経内分泌免疫学 / 運動強度 / CAR / コルチゾール |
Outline of Annual Research Achievements |
起床時コルチゾール反応(cortisol awakening response: CAR)は,視床下部-下垂体-副腎皮質(hypothalamic-pituitary-adrenal axis: HPA)系の活動を反映する慢性的ストレスの指標である.本研究では,運動強度の違いが翌日のCARに及ぼす影響について,条件統制下の身体負荷実験によって明らかにすることを目的とした.過去6ヶ月以内まで競技を継続していた男子大学生10名を対象として,①20分間の安静座位セッションとVO2maxの②40%,③60%,④80%の強度の運動セッションからなる4セッションを各日程で実施した.セッション前後およびセッション終了から10分後,20分後,30分後,セッション当日の夜,セッション翌日起床時において,唾液採取(起床時は起床直後・15分後・30分後の3点)とVAS(主観的疲労度,筋肉痛の程度),心理指標(POMS2短縮版)の測定を実施した.CARは増加量(CARi),増加率(CAR%),曲線下面積(AUCG,AUCI)を算出し,POMS2短縮版は総合的不快感情(TMD)得点のデータを用いた.唾液中コルチゾール濃度は酵素免疫測定法(ELISA法)を用いて測定した.その結果,80%VO2maxの運動セッションではセッション終了後に唾液中コルチゾール濃度の上昇がみられ,セッション当日の夜に回復した.にもかかわらず,セッション翌日のCARiとAUCIの値は安静セッションと比較して80%VO2maxのセッションにおいて高値を示した.一方で,起床時の主観的評価には有意な差がなかったことから,80%VO2maxのセッション翌日で高値を示したCARiおよびAUCIは,身体的疲労の自覚を伴わない初期の慢性的疲労状態をとらえている可能性が示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は起床時コルチゾール反応を,高強度の運動ストレスを慢性的に受けている競技者に対して,ストレス指標として用いることができるかということについての基礎的検討を行った. 実験は長期にわたるため,当初計画していたよりは,参加者を十分なところまで増やすことはできなかったが,測定の手技は確立され,データもおおむね安定的であったことから,今後さらに対象者を増やして検討を進めていく予定である. そうしたことから、おおむね順調に進展していると言えるだろう。
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Strategy for Future Research Activity |
まずはここまで実施した実験に関しての追加実験を終了させることが必要である.また,今回の検討で身体的負荷の影響が示唆されたことから,慢性的ストレス指標としてアスリートにCARを適用するにあたっては,様々な注意が必要であると考えられる。今後はより多角的に慢性ストレスに影響する「身体的負荷」と「精神的負荷」について検討を進めていく予定である. また、同時に自律訓練法の実施に伴うCARの変化動態についても検討ができるように,今後計画していく予定である.
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Causes of Carryover |
年明けから年度末にかけてのCOVID-19に関連した、大学の閉鎖などにより、当初予定していたいくつかの追加実験が実施できないなどの事態が生じたため。
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