2019 Fiscal Year Research-status Report
The effects of resistance training on pyruvate oxidation in mitochondria.
Project/Area Number |
19K11521
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
榎木 泰介 大阪教育大学, 教育学部, 准教授 (70392701)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 乳酸 / 筋力トレーニング / エネルギー代謝 / ピルビン酸脱水素酵素 / ミトコンドリア |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は運動を行うためにエネルギーを必要とするが、体内には大きく分けて2つのエネルギー供給機構がある。2つはそれぞれ特有の機能をもち、それぞれが独立して働いているが、この2つの経路を関連付ける可能性をもつ物質がある。それは乳酸である。 活動する骨格筋内には、乳酸がつくられる経路(解糖系)と乳酸をつくらずに糖を分解する経路(糖酸化系)が存在する。瞬発系の運動では解糖系が、持久系の運動は酸化系が主なエネルギー供給を担うが、特に競技スポーツやアスリートにとっては、このどちらの能力も必要となる。本研究課題は、高強度の筋力発揮運動(レジスタンストレーニング)によって筋細胞内のエネルギー代謝がどのように適応変化するかを解明する。解糖系を鍛えるトレーニングの反復が、糖酸化系にも良いトレーニング効果を与えることを証明し、アスリートのパフォーマンス向上に貢献したい。 初年度の研究では、実験動物に重り負荷を付け、ハシゴ登りのレジスタンストレーニングを4週間、実施した。骨格筋内のエネルギー代謝を以下3つの期に分けて、それぞれに関与する物質(酵素・基質・膜輸送担体・転写因子)の分析を進めた。その結果、レジスタンストレーニングによって高強度運動を支える解糖系の働きが向上し、より多くの乳酸がつくられ、またピルビン酸に転換されることがわかった。さらに、より多くのピルビン酸がミトコンドリアへ取り込まれ、エネルギーとして代謝利用される可能性が示唆された。これらの結果に加えて次年度には、ミトコンドリアに取り込まれたピルビン酸が糖酸化系の代謝能力を向上させることを検証したい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は予定通りに2度の飼育実験を実施し、研究対象となる試料を揃えることが出来た。分析を順次行い、筋肥大系のマーカーとミトコンドリア内の代謝酵素についてデータが得られた。一方で、最も注目していたPDH活性の定量には多少問題が残った。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、酸化系代謝を鍛えるトレーニングとして、解糖系代謝を鍛えることが1つの方法になりえることを、骨格筋内の代謝因子の分析によって検証する。解糖系によって多量につくられたピルビン酸が、ミトコンドリアに入り、分解されることによって、糖酸化の代謝機能をも向上させることを明らかにしたい。実験はこれまでとほぼ同じ方法を用いる予定であり、研究が順調に進むものと期待している。
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Causes of Carryover |
2月以降年度内における非常勤研究員の勤務計画が活動自粛により変更になったため、予算執行額に差異が生じた。次年度、試薬等の購入に活用する予定である。
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Research Products
(4 results)