2021 Fiscal Year Research-status Report
The effects of resistance training on pyruvate oxidation in mitochondria.
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19K11521
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
榎木 泰介 大阪教育大学, 教育学部, 准教授 (70392701)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | エネルギー代謝 / レジスタンストレーニング / ミトコンドリア / 乳酸 / ピルビン酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、骨格筋の強い収縮を特徴とした筋力トレーニングの有益性を証明することであり、特に骨格筋におけるエネルギー代謝の適応変化に注目している。実験実施計画の3年目にあたる今年度は、前年に実施した飼育介入実験(実験動物を用いて筋力トレーニングを実施)から採取した試料(骨格筋や血液)を対象に、それらの分析を進めた。 筋力トレーニングによる骨格筋細胞内の有益な適応変化の1つに、骨格筋におけるエネルギー代謝の効率を高める酵素の増加とその働きの向上がある。今年度は、特に骨格筋内の①代謝酵素の量とその活性の定量、②エネルギー基質(乳酸とグリコーゲン)の定量に注力した。①酵素活性の定量については、市販の測定キットのみでは普遍的な数値の獲得が困難であると判断し、既報の測定論理や文献等を参考に、測定方法の確立を試みた。②については、参考とする先行研究を発表されている東京大学八田研究室と寺田研究室に指導をいただき、測定方法を確定することが出来た。研究活動が制限される中にあって、2つの酵素と1つのエネルギー基質について、貴重なデータを得ることができた。 本年は、2つの酵素と2つのエネルギー基質の測定方法の確立に多くの時間を費やした。今回得られたデータは、いずれも本研究課題において主軸となるものである。コロナ禍の影響で、動物飼育や学生の大学構内への出入り、実験活動が自由に行えない状況であったが、その期間内にも測定方法の検討を進められたことは、価値ある前進であった。 本研究課題は、次年度への延長申請が認められた。残念ながら今年度に実施できなかったいくつかの測定について、さらに実験を進めたい。今後も、筋力トレーニングの効果を証明すべく、骨格筋細胞の内部の適応変化を解明していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
今年度も引き続きコロナ禍の影響で、所属する大学では講義や会議がオンラインと対面の併用運用となり、その対応と準備のために、研究時間の確保が困難であった。また、その都度に、学生の実験活動や大学への入校についても制限が設けられたため、3密を避け、個別性を担保することに注力し、実験計画やその進捗が思うようにはならなかった。 しかし一方で、本研究は実験動物が対象であることから、採取した試料は凍結され、分析まで保管することが可能である。今年度は分析項目を再検討し、新しい実験方法を確立することで、貴重な機会となった。今後も状況に応じる必要があり、研究の進度は期待できないが、地道に1つずつデータ採取を重ねていくことで、研究計画を遂行したい。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、昨年度に設定した研究の推進方策に従い、①実施が比較的に容易な実験を中心に進める、②実験方法の再検討と新たな測定方法の確立、の2点に絞って研究を進めた。今後も①については、コロナ禍であっても今年度と同様に一定のペースで地道に進めていきたい。②については、今年度に十分な成果を得ることが出来た。次年度以降には、定常的な測定項目に加えることで、引き続き分析を進める。 今後は、すでに採取した凍結サンプル(骨格筋)を対象として、エネルギー代謝に関連する物質の測定を進める。分析には、自分自身の時間の確保だけではなく、協力してくれる研究室の学生の参加も重要である。コロナ禍においても、彼らが安心して研究・実験に参加できるように、実験室の研究環境からも配慮したい。
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Causes of Carryover |
コロナ感染症の流行によって、大学に所属する研究代表者に新たな業務が積み重なり、研究の遂行に必要な時間や機会の確保が困難となった。本年度が最終年度であったが、当初の研究計画を変更し、補助事業期間の延長申請を行い、認可された。 次年度には、これまでのコロナ禍においての経験を活かしたうえで、その時の状況に対応しながら研究活動を実施する。繰り越しを認めていただいた助成金については、当初の研究計画に従い、次年度に利用させていただく。主な支出としては、実験で使用する試薬や抗体、分析にかかわる測定キットなどである。
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Research Products
(2 results)