2020 Fiscal Year Research-status Report
運動・スポーツ行動への動機づけを規定する挑戦と快情動の精神生理学的研究
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19K11522
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
星野 聡子 奈良女子大学, 生活環境科学系, 教授 (80314524)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小森 康加 京都光華女子大学, 健康科学部, 教授 (90296773)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 挑戦・脅威 / 情動 / 認知的評価 / 精神生理学 / 競技ストレス / 動機づけ / 心拍数 / 視線行動 |
Outline of Annual Research Achievements |
運動・スポーツを行う際,いずれの行動においても多様な心的過程が存在する.ダマシオ (Damasio, 1994)は,意思決定の前段階に経験する「良い―悪い」,あるいは「快―不快」の感情をもつことをソマティック状態と呼んだ.そしてその感情を引き起こす生理反応(ソマティック・マーカー)が自動的信号として,意思決定や行動選択の動機づけとなりうるとしている. 今年度は,新型コロナウイルス感染拡大防止のため,大学における人を対象とした研究活動を停止せざるを得なかった.計画していた実験は全て停滞し,昨年度行った実験データ解析を粛々と進めるにとどまり,研究実績としての進展は少ない. 今年度は,このような中であったが,最終的に分析結果を国際学会発表をすることができた.多くの学会が中止や延期をする中,主催国イタリアには渡航できず,日程も延期され最終的にはWeb会議となった.学会開催の新様式が模索されながらの開催であったが,発信や交流を持てたことが成果であるいえよう. 一対一で対峙する実践場面は,ハンドボールのペナルティシュートや剣道などの武道の対峙場面など多様である.スポーツ行動の心的過程を視線行動と自律神経系応答に求め,精神力が重要視されるストレス場面を設定して実験を行ってきた.運動・代謝による影響を排除しながら,競技スキルの異なる選手を対象に,意思決定や行動選択の精神生理学的評価に取り組んだ.相対する相手に対する技の成功・失敗は,対戦者の技能の差異によって異なる認知的な探索方略が観察された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染拡大防止対策のため,今年度の計画は,学内への教員の出勤自粛,学生入構禁止をはじめとし,被験者に入構してもらえヒトを対象とした研究活動は停止せざるを得なかった. 当該科学研究費研究の他にも,学生生活へのコロナ禍への影響を心身両側面から解明するプロジェクトに急遽取り組むことになり,また,新しい授業システムの学習と準備,また教員間の連携や学生とのWebを介した対話等,想定外の仕事に多くの時間を割くこととなった. 今年度はこれまでに行った実験のデータ解析を進めるに留まり,研究実績としての進展は少ない.
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Strategy for Future Research Activity |
ひとの心はころころ揺らぐが,そのストレスマーカーを見える化することが最終目標である.できるだけ個人差の影響を排除した汎用性のある指標を採用し,生理的覚醒反応を一般化して即時評価・即時還元することができれば,スポーツ場面において競技者の最適覚醒状態の理解や確立に寄与し,ひいては競技者のパフォーマンス予測が可能となると考える. 当初,2020年度は過去2年間に行った実験結果を積極的に発信・還元することを目標としていた.しかしながら昨年度の非常事態により進捗状況が芳しくない.今年度は再度実験計画を練り直し,新型コロナウイルス感染拡大防止に十分に配慮しながらできることを可能な限り遂行していく.
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Causes of Carryover |
多くの国内学会の中止,国際学会のオンライン化により,旅費の支出がなくなった.またヒトを対象とした実験が行えなかったことにより実験に係る謝金の支出がなくなった.これらに必要な経費は,翌年,コロナ禍の状況を鑑みながら,実行する予定である.また,翌年度分の補助金とあわせて,積極的な発信のために使用する計画である.
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Research Products
(1 results)