2020 Fiscal Year Research-status Report
多変量時系列パターン解析による競技パフォーマンス動作特性の識別と評価手法の開発
Project/Area Number |
19K11524
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Research Institution | Sapporo International University |
Principal Investigator |
小林 秀紹 札幌国際大学, スポーツ人間学部, 教授 (40280383)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 時系列データ / 多変量 / 機械学習 / 動的時間伸縮法 / 個人特性 / キネマティクス / フォーム / 動作 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は多変量時系列パターン解析による競技パフォーマンス動作特性の識別に関する取り組みを中心に行った. キネマティック変量によるパフォーマンス評価は、時系列情報を無視してグループ間や条件間の比較をすることが多い.本研究は時系列情報を包含した分析手法として,慣性センサから得られたキネマティックデータについて機械学習を適用した.カーリングのデリバリーフォームにおけるキネマティックス変量の時系列データに対して動的時間伸縮法(DTW)を適用し,異なるストーン速度間の関係を検討するとともに,個人特性を明らかにすることを試みた.同手法は時系列同士の長さや周期が違っても類似度を求めることができる特徴があり,本研究では股関節の角度に着目し,異なる速度,すなわち,ストーン速度の速い遅いによるフォームの違い(類似度)の個人内変化(個人特性)を見出すことを試みた. 3名の日本代表選手を対象に,4種類のウエイトについて8試行実施した.選手Bと選手Cの股関節角度におけるストーンの速度間の類似度は同様の傾向を示しているものの,選手Aはストーン速度による股関節角度の違いがフォーム全体を通して大きく異なることが確認される.選手Aは股関節の外転による速度の調整が,ほかの選手よりも顕著であることが理解される.3名の選手個人間の速度差は0.1秒以内であり,選手間の差は伺えなかった.ドローウエイト時の骨盤の加速度はテイクショット時に比べて違いが窺えた.DTWの適用結果,4種類のストーン速度間において関係の程度は異なり,また同じストーン速度でも選手によって関係の程度は異なった. 動作の一局面を切り取ることなくフォーム全体の連続した時系列キネマティクスデータにDTWを適用することによって,個人間の比較,あるいは異なる条件における個人内の比較からパフォーマンスの個人特性を分析できることが確認された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍にあって新規のデータを取得することは困難であるが,その一方で,それ以前に取得したデータを使用し,パフォーマンス動作特性の識別と評価手法の開発の目途はついている.プログラミング等解析的な内容が中心であるため,作業としてはおおむね順調に進んでいるが,今後現場でのデータ取得が引き続き困難になれば,開発した評価手法の検証手続きや新規のアイデアの検討に困難を伴う可能性が考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
現在はRおよびPythonによって分析を進めているが,今後各種機械学習のプラットフォームを検討し,本研究課題を推進するうえでより適切な開発環境を検討し,確定する.動作特性の識別と評価手法の開発に関する目途はついたが,カーリング競技におけるキネマティクスデータに限られるため,現場での測定が可能となった場合には他のスポーツ競技におけるキネマティクスデータの取得を計画する. 最終的には個人のパフォーマンスの即時フィードバックが可能な携帯端末におけるシステムに発展できるよう進めている.
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Causes of Carryover |
コロナ禍において出張ができなかったため. 引き続き学会出張ができなければ異なる方法での発表を検討する.
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