2019 Fiscal Year Research-status Report
ビタミンD不足はサルコペニア進行の増悪因子なのか?
Project/Area Number |
19K11526
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
柿木 亮 順天堂大学, スポーツ健康科学部, 非常勤助教 (70614931)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ビタミンD / 筋力低下 / サルコペニア |
Outline of Annual Research Achievements |
加齢により筋量・筋力が減少するサルコペニアは、健康寿命の短縮をもたらすため、超高齢化社会を迎える本邦では大きな社会問題となっている。近年、ビタミンDの不足者は筋力が低いことが観察研究によって明らかにされ、高齢者のビタミンD不足が深刻化していることを考慮すると、ビタミンD不足はサルコペニア進行の増悪因子となる可能性が考えられる。本研究では、ビタミンD不足による筋力低下は、筋小胞体やミトコンドリアなどの細胞小器官レベルでの機能不全に起因していると仮説を設定し、サルコペニア進行に対するビタミンD不足の影響や運動・トレーニングによる改善効果を明らかにすることを目的としている。これらの成果は、ビタミンD不足による筋力低下のメカニズムの解明だけでなく、サルコペニア対策として有効な運動・栄養プログラムの提案に繋がり、高齢者がいつまでも自活できる社会の実現に大きく貢献できる。 本年度は「ビタミンD不足による筋力低下メカニズムの解明」をテーマに研究を行うため、摘出した骨格筋の筋張力(筋力)を測定する装置のセットアップを行った。ビタミンD不足により筋線維タイプ特異的な影響を受ける可能性が考えられるため、マウスのヒラメ筋(遅筋)と足底筋(速筋)を対象に検討し、問題なく測定できていることを確認した。しかしながら、当初計画していた研究は、モデル動物の作製も含めて大幅に遅れている。ただし、今後の研究の方向性には変わりはなく、モデル動物の作製を急ぐとともに、若齢動物においてビタミンD不足が筋量・筋量に与える影響を、生理・生化学的手法にて検討していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
申請者は、昨年度末をもって所属機関を異動したため、今年度は研究環境を整えるのに大幅な時間を要した。また、当初の予定より学務が多忙で、研究に割ける時間が大幅に削減された。そのため、本年度に当初計画していた研究の進行が大幅に遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
学務が予想以上に多忙であるが、今年度実施する予定だった研究は引き続き実施していく予定である。今後は、出来るだけ早くビタミンD欠乏のモデル動物の作製を行い、ビタミンD不足が筋力・筋量に与える影響を明らかにする。また、若齢動物に対する運動の効果も併せて検討していくことで、研究全体の進行の効率を挙げる工夫も視野に入れながら実施していく。
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Causes of Carryover |
本年度計画の研究進行が大幅に遅れたため、当初計上していた動物購入費や生理・生化学的分析に関連する試薬などの消耗品に次年度使用額が生じた。また、学内業務により国外学会に参加することができなかったため、旅費に次年度使用額が生じた。次年度は、今年度遅れていた研究を進めていき、なるべく遅れを取り戻すように研究を実施する。したがって、次年度使用額の多くは、動物購入費や生理・生化学的分析に必要な消耗品費に充てる予定である。
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Research Products
(1 results)