2021 Fiscal Year Research-status Report
ビタミンD不足はサルコペニア進行の増悪因子なのか?
Project/Area Number |
19K11526
|
Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
柿木 亮 順天堂大学, スポーツ健康科学部, 非常勤助教 (70614931)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | ビタミンD / 骨格筋 / 筋張力 / 筋量 |
Outline of Annual Research Achievements |
サルコペニアに対するビタミンDの不足がどのような影響をもたらすかを検証する前に、ビタミンDの不足が骨格筋の量や機能に与える影響に関する基礎的なデータが現在のところ得られていない。すなわち、ビタミンD欠乏食を摂取することによって血中ビタミンDの減少を惹起できるのか、またそれに伴い骨格筋にどのような影響が出るのかが不明である。そこで、本年度は若齢マウス(C57BL/6J:雄性)を用いてビタミンD欠乏食摂取による骨格筋の量および機能に及ぼす影響を検討した。若齢マウス(8週齢)を通常食(ビタミンD3含有量: 1000 IU/kg)群とビタミンD欠乏食(ビタミンD3含有量:0 IU/kg)群に分け、2、6および14週間飼育した。飼育中は、餌と水を自由に摂取させた。飼育後には麻酔下で、腹大静脈から採血を行うとともに、下肢から速やかに骨格筋(ヒラメ筋、足底筋、腓腹筋)を摘出し、重量を測定した。摘出した足底筋は、酸素化したクレブス溶液内で、電気刺激による筋張力の測定を行い、筋の機能を評価した。通常食を摂取したマウスと比較してビタミンD欠乏食を摂取したマウスにおいて、血清ビタミンD濃度は有意に低値を示しており、ビタミンD欠乏食の影響を確認することができた。骨格筋の量に対する影響は、通常食摂取群とビタミンD欠乏食群のマウスの間で有意な差は見られなかった。また、筋張力に関しては、飼育後2週間および14週間において通常食群とビタミンD欠乏食群で有意な差は見られなかったが、6週間においてはビタミンD欠乏食群の足底筋の筋張力が通常食摂取群と比較すると低い傾向にあった。今回の対象マウスは若齢であり成長が著しい時期であったため、飼育後6週間で筋収縮機構にビタミンD不足の影響が生じている可能性が示唆された。今後は、筋収縮に関連するタンパク質発現などの解析を進める必要がある。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本年度は最大限研究を進めることができたものの、新型コロナウイルス感染症の拡大によりこれまでに研究の進行が全面的に遅れている。
|
Strategy for Future Research Activity |
実験の体制や機器は整っており、今後の実験では早急に老齢動物を対象に同様の方法を用いて検証していくことによって、老齢動物に対するビタミンD不足の影響を明らかにしていくことを目指す。また、若齢動物の骨格筋において筋張力以外にもどのような影響が出ているのかを詳細に検討するために、筋量や筋機能の調節に関わるタンパク質発現や遺伝子発現解析を行っていく。
|
Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の拡大により当初計画していた研究が全体的に遅れているため、マウス購入費および消耗品費に関して次年度使用額が生じている。次年度は、遅れていた研究を実施するためにマウス購入費および消耗品費に多く充てるとともに、研究成果を発表するための旅費や論文作成費に充てる予定である。
|
Research Products
(2 results)