2019 Fiscal Year Research-status Report
学校体育連盟の歴史社会学:運動部活動の過熱化に与えた影響の考察
Project/Area Number |
19K11533
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
中澤 篤史 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 准教授 (70547520)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 運動部活動 / 学校体育連盟 / 競技大会 / 過熱化 / 歴史社会学 |
Outline of Annual Research Achievements |
なぜ日本では「部活」が盛んなのか。日本のスポーツ文化は、地域社会のクラブではなく、学校の運動部活動によって支えられてきた。これまで研究代表者は、運動部活動の歴史と現状を分析し、スポーツと教育の日本特殊的な関係を考察してきた。それを発展させた本研究は、学校体育連盟が運営する競技大会に注目し、その成立と展開のプロセスを歴史社会学的に分析し、それらが運動部活動の拡大と過熱化に与えた影響を考察する。具体的には、日本中学校体育連盟、全国高等学校体育連盟、日本高等学校野球連盟を対象に、アメリカの学校体育連盟とも比較しながら、それらの組織がどう成立したのか、そして競技大会をどう運営してきたのかを分析・考察する。それを通じて、運動部活動が過熱してきた歴史的プロセスを明らかにすることをめざす。 2019年度は主に、先行研究の検討と、戦後中学校運動部活動の資料蒐集・分析、戦前中等学校競技大会の資料蒐集・分析を行った。先行研究については、スポーツ科学、体育学、教育学分野の歴史的研究を中心に検討し、運動部活動の歴史理解の到達点と課題を確認した。戦後中学校運動部活動の資料蒐集・分析は、日本中学校体育連盟および都道府県中学校体育連盟の組織のあり方に関するもの、そしてそれらが運営する競技大会に関するものを対象に行った。本研究は戦後史を中心に扱うが、その前提として、運動部活動と競技大会の戦前からのつながりを検討しておく必要もある。そこで、戦前の中等学校競技大会に関する資料蒐集・分析も行った。これらの作業を通じて、学校体育連盟の成り立ちや競技大会の展開の様子を歴史社会学的に明らかにするための、本研究全体の基盤を整えるように努めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通りに、概ね順調に進展している。2019年度は主に、先行研究の検討と、戦後中学校運動部活動の資料蒐集・分析、戦前中等学校競技大会の資料蒐集・分析を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、計画通りに研究を進めていきたいが、新型コロナウィルス感染症の拡大のため、見通しが立たない部分もあり、計画を変更せざるを得ない可能性もある。具体的には、国内では各種資料蒐集のため訪問予定だった施設・図書館が閉館される可能性がある。また国外ではアメリカでの現地調査および資料収集を予定していたが、実施が困難になる可能性がある。こうした場合は、すでに蒐集した資料の分析を進める他、Web上でアクセス可能な資料を優先的に蒐集するなど対策を講じたい。
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Causes of Carryover |
おおむね計画通りに使用している。わずかに残った金額は、次年度の資料蒐集・複写の費用に充てたい。
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Research Products
(9 results)