2019 Fiscal Year Research-status Report
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19K11534
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Research Institution | Toin University of Yokohama |
Principal Investigator |
林田 はるみ 桐蔭横浜大学, スポーツ健康政策学部, 教授 (40460399)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 月経周期 / 酸化ストレス / 抗酸化力 / 女性ホルモン / 女性アスリート |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、一般女性と女性アスリートを対象とし、性周期と運動トレーニングが及ぼす酸化ストレス応答への影響について、女性の性周期によって変化する女性ホルモンの動態の側面から明らかにすることである。女性ホルモンの中でもエストロゲンには抗酸化作用があるが、女性ホルモン濃度は月経周期によって変動するため、性周期は女性の酸化ストレス状態に影響する可能性がある。一方で適度な運動習慣は抗酸化力を高め酸化ストレスを軽減させるが、女性アスリートにおいては日常的な高強度トレーニングや月経不順などの健康障害によってこの作用に異常をきたし、高い酸化ストレスにさらされている可能性がある。 2019年度は、運動習慣のない成人女性と女性アスリートを対象に、性周期ごとに採血を行い、安静時の酸化ストレスの変動を評価した。その結果、安静時の酸化ストレス度(d-ROMs)は、運動習慣のない女性よりも女性アスリートの方が有意に低かったが、月経周期の影響は受けなかった。一方、安静時の抗酸化力(BAP)については、運動習慣のない女性と女性アスリートでは、違いが認められず、月経周期の影響も受けなかった。 これらの調査結果より、定期的なトレーニングが女性アスリートの安静時の酸化ストレスレベルを低下させている可能性が示唆された。しかし、月経周期は、運動習慣の有無にかかわらず、女性の安静時の酸化ストレスレベルに影響を与えないという、興味深い所見が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究はほぼ計画通りに順調に進行している。運動習慣のない成人女性と女性アスリートを対象に、性周期ごとの、安静時の酸化ストレス度と抗酸化力を検討することができた。定期的なトレーニングが若年女性の安静時の酸化ストレスレベルを低下させるが、月経周期は、運動習慣の有無にかかわらず、安静時の酸化ストレスレベルに影響を与えない可能性が示された。 しかしながら、酸化ストレスを評価する指標としては今回用いたd-ROMs・BAPだけではなく、他のマーカーも用いて今後詳しく検討する必要がある。また、性周期に伴う女性ホルモンの変動を評価するためには、エストロゲンとプロゲステロンレベルも調べる必要がある。これらの解析は、いずれも3月中に行う予定であったが、次年度へ延期して実施することとした。 以上から「2おおむね順調に進展している」を選択した。
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Strategy for Future Research Activity |
2019度の結果より、当初の計画はほぼ順調に進んでいるが、今後は、採取した試料のより詳しい解析を行う予定である。これによって、性周期による安静時の酸化ストレスの変動についての知見をまとめて成果の発表を目指す。 さらに、今後は女性アスリートを対象に性周期ごとに運動を行わせ、運動時の酸化ストレス応答に性周期が及ぼす影響について検討する予定である。
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Causes of Carryover |
試料採取と一部試料の解析にあたっては、研究協力者の協力を得て本研究が実施できたが、3月中に行う予定であった試料解析については、次年度に延期せざるを得なかった。このため、試薬購入の物品費や学会で成果発表の旅費などの予算を次年度に繰り越して、本研究課題を推進するものである。
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