2019 Fiscal Year Research-status Report
Role of albumin in muscle protein synthesis
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19K11537
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Research Institution | Shigakkan University |
Principal Investigator |
村上 太郎 至学館大学, 健康科学部, 教授 (10252305)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | レジスタンス運動 / 筋肉アルブミン / mTORC1 / たんぱく質合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の目標は、レジスタンス運動による筋肉アルブミンの増大を解明するためのレジスタンス運動モデルを構築することであった。イソフルラン麻酔下のラットの足底を小動物用トルク測定器に固定し、腓腹筋を経皮的に電気刺激することで等尺性の筋収縮を誘導した。ラットに等尺性筋収縮6回/セットとするレジスタンス運動5セットを隔日で10回負荷して腓腹筋の重量を測定した。レジスタンストレーニングによって、腓腹筋の重量は10.6%増大した。レジスタンストレーニングによる筋肉の増大は、毎回の運動後にmTORC1が活性化されることによりたんぱく質合成が増大することによって誘導されると考えられている。上記の方法で急性のレジスタンス運動をラットに負荷し、運動直後の腓腹筋のmTORC1経路のリン酸化とたんぱく質の合成率をウェスタンブロット法で測定した。4E-BP1とS6K1のリン酸化は、それぞれ280%と190%増大した。たんぱく質の合成率は81%低下した。レジスタンス運動後にmTORC1経路の活性化が見られたことから、本研究で用いたレジスタンス運動はラットのレジスタンス運動のモデルとして妥当であることが示された。一方で、mTORC1経路とたんぱく質合成の動態が一致しなかった。運動時には筋収縮のために必要なATPの浪費を防ぐためにmTORC1経路は不活性化され、たんぱく質合成が抑制されると考えられている。本研究の結果は、mTORC1とたんぱく質合成の翻訳段階をつなぐ経路を修飾する機序が存在することを示唆している。次いで、急性のレジスタンス運動によって腓腹筋のアルブミンが増大するか否かを上記サンプルを用いてELISA法で確認した。腓腹筋のアルブミン濃度は44%増大した。上記の結果から、本研究で用いたレジスタンス運動モデルは筋肉アルブミンが増大する機序を解明するモデルとして妥当であることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の目標は、レジスタンス運動による筋肉アルブミンの増大を解明するためのレジスタンス運動モデルを構築することであった。目標は概ね達成できた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、先天的遺伝子欠損による無アルブミンラット(Nagase Analbuminemic Rat, NAR)にレジスタンス運動を負荷して、筋肉アルブミンが筋肉のたんぱく質合成の増大に必要か否かを明らかにする。
実験1. NARにレジスタンストレーニングを負荷した場合、筋肉の肥大が抑制されるか否かを明らかにする。NARとSD系(コントロールラット)の雄ラットを用いる。イソフルラン麻酔下のラットの右脚に等尺性のレジスタンス運動を負荷する。左脚をコントロール脚とする。2日に1回の頻度で計12回のレジスタンストレーニングを負荷した後に腓腹筋を摘出し、重量とたんぱく質量を測定する。NARではトレーニングによる筋肥大が抑制されることが予想される。
実験2. NARにレジスタンストレーニングを負荷した場合、たんぱく質合成の増大が抑制されるか否かを明らかにする。NARとSD系の雄ラットに急性のレジスタンス運動を負荷し、経時的に腓腹筋を摘出する。腓腹筋のたんぱく質合成率をSUnSET法で、mTORC1経路の指標としてS6K1と4E-BP1のリン酸化をウェスタンブロット法で定量する。たんぱく質分解の指標としてLC3-IIの発現量とユビキチン化たんぱく質量も測定する。NARで筋肥大が抑制される理由として、レジスタンス運動後のたんぱく質合成の増大が抑制されることが予想される。
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Causes of Carryover |
概ね予定通り執行できていると思われる。
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