2019 Fiscal Year Research-status Report
宇宙滞在中の健康評価指標法開発に向けて~皮膚から骨格系の影響を検出できるか?
Project/Area Number |
19K11550
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
寺田 昌弘 京都大学, 宇宙総合学研究ユニット, 特定准教授 (10553422)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 宇宙放射線 / 皮膚 / 骨 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々の人体は環境変化によって様々な生理的影響を受ける。宇宙飛行士は、長期間の宇宙ミッション中に筋萎縮や骨量減少といった影響を受ける。これら宇宙滞在中の生理的変化は、宇宙飛行士が帰還した後の地上への再適応過程で問題になることがある。宇宙滞在中に生じる生理的変化を事前に予測できるかを検討し、筋萎縮や骨量減少といった宇宙滞在中ならびに地上でも生じる生理的変化を検出するためのバイオマーカーを見つけ出すことは重要な課題である。 宇宙滞在という制限された生活空間では、地上のように健康診断や健康状態をモニタリングするのは難しい。そのため、被験者に侵襲性が少なく簡便に解析できる診断手法の開発が重要である。毛根は被験者から採取しやすく、生理的代謝状態を反映している。そこで、非侵襲的で簡便な診断方法の開発を目指して、毛根を含んだ皮膚組織中の因子に着目する。本研究では、微小重力・宇宙放射線の2要因によって生じる筋萎縮や骨量減少を、皮膚組織からの情報で計測可能かを検討することが目的である。 2019年度の当初の予定では、動物実験を実施しサンプル採取を行う予定であった。しかし、諸事情から年度内の動物実験実施が困難であったため、次年度からの動物実験実施計画の作成ならびに情報収集に注力した。特に、模擬宇宙放射線影響を検討するために、NASAの研究者との打ち合わせなどを通じで、情報収集並びに研究協力について議論を深めた。サンプルシェアーなどの可能性を検討した。今後の解析のための協力関係の構築ができた。また、次年度の動物実験実施の目途も立ち、今後の研究実施に繋げる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画では、2019年度は動物実験を実施してサンプル採取をする計画であった。しかし、諸事情により動物実験実施ができず、本年度はNASA研究者や研究協力者との打ち合わせなどを通じて、サンプルシェアやデータシェアの可能性を議論した。特にデータシェアについては進捗があり、次年度の研究加速に向けて有益な協力関係が築けた。また動物実験実施の目途も立ち、次年度のサンプル解析に向けて、今後検討していく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
動物実験を実施し、サンプルを採取し解析を実施する。骨量減少・筋萎縮時に発現する遺伝子(骨:MCP-1, Nfe2l2, Rankl等、筋:MuRF-1, Cbl-b,Siah-1A, Myogenin等)と毛根を含んだ皮膚中FGF18の発現量をqPCRで比較検討する。また、骨量減少・筋萎縮が生じていることを確かめるため、ヒラメ筋、脛骨・大腿骨で組織解析を行い、横断面積等を測定し萎縮度を定量する。
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Causes of Carryover |
本年度は計画していた動物実験が実施できなかったため、情報収集等に予算を使用した。残額は、次年度に計画している動物実験とその解析に当てる予定である。
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