2019 Fiscal Year Research-status Report
運動負荷が反応抑制・変更機能に関わる大脳皮質活動に及ぼす影響の解明
Project/Area Number |
19K11559
|
Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
高寄 正樹 日本大学, 生産工学部, 講師 (40635520)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 反応抑制 / 運動負荷 / エルゴメーター |
Outline of Annual Research Achievements |
変化する状況に適応するため,予定の運動方略を抑制あるいは変更するということは,ヒトにとって重要である。これらの認知機能の研究は,実験室内でスタティックな座位姿勢にて行われてきたが,実際にこれらの認知機能が発揮される日常生活やスポーツの場面においては身体運動がともなう。運動負荷中の反応抑制・変更についての先行研究においては,生理指標をもとにコンセンサスの得られている結果はない。そこで,本研究では,運動負荷として自転車エルゴメーターによるペダリング運動を,反応抑制および反応変更機能の検討にStop-signal 課題ならびにChange-signal 課題を用い,さまざまな強度の運動負荷をともなう反応課題中の脳波出現様式から,本研究課題を解明することを目的とした。初年度の本年度においては,自転車エルゴメーターによるペダリング運動の運動負荷強度は,約50(40~59)%HRR(予備心拍数)の中等度レベルとした。反応抑制課題としてStop-signal 課題を用い,運動負荷前,運動負荷中,運動負荷直後,運動負荷20分後の4局面の反応抑制機能について検討を行なった。実験においては各局面での脳波,心拍数,Stop-signal 課題のパフォーマンスについて記録をした。その結果,Stop-signal 課題のGo試行における反応時間に変化はみられなかった。Stop試行時においては,運動負荷中に誤反応時間が短縮し,SSRT(Stop-signal reaction time)が延長する傾向がみられた。以上の結果より,中等度レベルの運動負荷により反応抑制機能が抑圧される可能性が示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は実験システムの構築において、当初研究計画よりもやや時間を要した。当初,本年度は反応抑制機能に加えて,運動負荷が反応変更機能に与える影響についても検討する予定であった。しかしながら,時間的制約を受け反応抑制機能に関する実験については完了していない。今年度検討した中等度の運動負荷強度では,反応抑制課題においては,認知機能への影響は大きくないことが示唆されており,反応変更機能についても同様の結果が得られることが予想されるが,引き続き実験ならびに解析を進める。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度は,中等度レベルの運動強度を用いて検討したが,反応抑制機能への影響は少なかった。先行研究において,高強度の運動負荷後の認知機能への影響が大きいことが報告されている。次年度は,実験参加者を低(30~39%HRR)・中(40~59%HRR)・高(60~84%HRR)の3種類の運動強度に群分けし,それぞれの運動強度と反応抑制・変更機能に与える影響との関係について検討をする。実験システムについては,本年度のものを採用する。準備期の大脳皮質活動の検討には随伴陰性変動を,実行期の検討には事象関連脱同期/同期を用いる。
|
Causes of Carryover |
テレメトリー筋・心電計を計画より少し少額にて購入できたため,小額ではあるが年度内に当該予算を消化できなかった。 心電図ならびに脳波計測に必要となる消耗品費として使用する予定である。
|