2019 Fiscal Year Research-status Report
知的障害者のサルコペニア予防に向けた筋機能の個人差の解明と介入プログラムの開発
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19K11562
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Research Institution | Teikyo University of Science & Technology |
Principal Investigator |
岩沼 聡一朗 帝京科学大学, 教育人間科学部, 講師 (70634369)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 知的障害 / アダプテッド・スポーツ / 筋機能 / 筋内脂肪 / 介護予防 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、知的障害者のサルコペニア予防に向けて、①成人知的障害者の筋機能の個人差の要因を明らかにすること、②その結果に基づいて、成人知的障害者向けに、福祉現場でも応用可能な介入プログラムを開発することを目的としている。初年度-第2年度は、[研究①] 成人知的障害者の筋機能の個人差の要因の解明に取り組む計画であり、現在進行中である。 まず、本研究課題で取り組む、超音波法を用いた筋内の非収縮組織の割合(筋輝度)の評価について、測定の信頼性の確認や測定上の課題の検討を行った。本研究で対象とする大腿四頭筋のみならず、同様に移動能力において貢献度が高く、サルコペニアとの関連性が高い下腿三頭筋についても再現性の確認を行った。その結果、筋輝度を再現性高く測定することが可能であることが確認された。 次に、知的障害のない成人男性を対象に、歩行速度(通常歩行時、最大歩行時)、いす座り立ち回数、体重あたりの筋力(膝関節伸展トルク/体重)、体重あたりの筋量、筋量あたりの筋力(膝関節伸展トルク/筋量)、筋内の非収縮組織の割合(筋輝度)を測定し、身体活動レベル(国際標準化身体活動質問票)を調査した。これらの取り組みにより、データを取得する体制を整えることができた。 当初の計画では、その後知的障害のある成人の測定、および知的障害のない成人の測定を実施し、大人数のデータ取得を目指す予定であった。しかし、測定を計画していた年度後半に、日本国内において新型コロナウィルス(COVID-19)の感染の拡がりを見せたため、その後の測定を断念せざるを得なかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
初年度では、測定方法の信頼性の確認、測定・調査体制の構築、知的障害のある成人(20~50代)の測定・調査、および知的障害のない成人(同年代)の測定・調査を計画していた。 まず、本研究課題で取り組む、超音波法を用いた筋内の非収縮組織の割合(筋輝度)の評価について、測定の信頼性の確認や測定上の課題の検討を行った。その結果、十分に再現性が確認され、測定に関しても準備が整った。そこで、知的障害のない20代男性を対象に、歩行速度(通常歩行時、最大歩行時)、いす座り立ち回数、体重あたりの筋力(膝関節伸展トルク/体重)、体重あたりの筋量、筋量あたりの筋力(膝関節伸展トルク/筋量)、筋内の非収縮組織の割合(筋輝度)を測定し、身体活動レベル(国際標準化身体活動質問票)を調査した。 その後、知的障害のある成人の測定、および知的障害のない成人の測定を実施し、大人数のデータ取得を目指す予定であった。しかし、測定を計画していた年度後半に、日本国内において新型コロナウィルス(COVID-19)の感染の拡がりを見せたため、知的障害のある成人の測定、および知的障害のない成人の測定の両方を断念せざるを得なかった。そのため、当初計画していたデータ数を十分に取得することができなかった。対面による測定・調査が困難な状況であったことから、インターネットを使った先行研究の調査および整理といった文献調査を進め、第2年度以降における論文執筆のための準備を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
第2年度は、初年度に取得することができなかったデータを取得することを優先的に進める予定である。しかし、知的障害のある人は、糖尿病や高血圧、心疾患を罹患している者の割合が高いことから、COVID-19に感染した場合に重症化する危険性がある。そのため、測定再開においては、慎重に準備を進める必要がある。国内におけるCOVID-19の早期収束を待つだけでなく、本測定・調査における感染防止策を検討することが最優先課題である。感染防止策を講じた上で、まずは基礎疾患がない知的障害のない成人の測定・調査から再開したいと考えている。所属機関の入構禁止が続いており、測定・調査の再開時期の見通しが立たない状況であることから、学会発表や論文投稿が研究期間の後半にずれ込む可能性がある。そのため、研究期間は3か年の計画であったが、1年延長することを検討している。 第2年度は、自重負荷運動の要素を含む介入プログラムの開発を予定している。[研究②-A] 成人知的障害者における身体活動の状況および趣向の把握では、測定と同時に、それらの調査を行う計画であった。対面による測定が難しい状況下にあることから、知的障害のある成人を対象に、余暇での身体活動に関する趣向(好きなスポーツ、遊び)についてのみ、先行して調査をする計画である。また、[研究②-B] 介入プログラムの立案、負荷の検証については、測定・調査の再開時期の見通しが立ち次第、知的障害のない成人を対象に、計画どおり第2年度中に実施する予定である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は2つある。1つは、購入予定であった測定機器の入荷が遅れ、年度内の支出(物品費)が困難であったためである。もう1つは、新型コロナウィルス(COVID-19)の感染拡大に伴って測定を中断したため、そこで使用する予定であった人件費・謝金が支出できなかったためである。 測定機器(物品費)については、入荷の目途がたっている。また、今後の研究の推進方策でも記したとおり、国内でのCOVID-19の収束状況を見極めながら、感染防止策を立てて測定を再開する計画であり、それに応じて人件費・謝金については支出する予定である。 また、第2年度に計画していた自重負荷運動の要素を含む介入プログラムの開発については、予定どおり遂行する計画にある。
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