2019 Fiscal Year Research-status Report
運動が空間学習・記憶機能の異なるラットの海馬に及ぼす影響
Project/Area Number |
19K11568
|
Research Institution | Nakamura Gakuen College |
Principal Investigator |
中野 裕史 中村学園大学, 教育学部, 教授 (60301678)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 空間学習 / 空間記憶 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は,モリス水迷路課題を指標とした空間学習・記憶機能の亢進を呈するラット(高学習系)と低下を呈するラット(低学習系)の系統を選択交配によって9世代目まで作成することを目的とした。 両系統ともに8~10週齢時に,ビデオトラッキングシステムを用いてモリス水迷路課題を1日当たり4試行,5日間実施した。各試行は4ヵ所のランドマークのいずれかよりスタートし,プラットフォーム上に静止した場合を成功試技とした。試行時間は最大60秒間とし,6日目にはプラットフォームを取り除いたプローブテストを60秒間実施した。高学習系のラットでは,12~13週齢時に1番目と2番目に空間学習・記憶機能が高い兄妹間で交配を行い,同様に低学習系のラットでは,12~13週齢時に1番目と2番目に空間学習・記憶機能が低い兄妹間で交配を行った。 高学習系においては9世代目が誕生となり,8世代目のオスの逃避潜時は親世代よりも有意に短縮し(ANOVA,p < 0.05),メスの逃避潜時も短縮傾向にあり(ANOVA,p = 0.05),空間学習機能の亢進傾向が認められた。また,プローブテストの結果,オス,メスともに記憶機能の有意差は認められなかった。 低学習系においては7世代目が誕生となり,6世代目のオスの逃避潜時は親世代と有意差が認められないものの,メスの逃避潜時は有意に延長し(ANOVA,p < 0.05),空間学習機能の低下傾向が認められた。また,プローブテストの結果,オス,メスともに記憶機能の有意な低下(t-test,p < 0.05)が認められた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
低学習系ラットの生殖機能低下によって,9世代目に至っていないため。
|
Strategy for Future Research Activity |
2020年度は高学習系ラットは10~12世代目まで,低学習系ラット8~10世代目まで選択交配を行う予定である。低学習系ラットについては,排卵誘発剤の使用や交配の雌雄ペアを代えながら妊娠を促す。
|
Causes of Carryover |
7世代目の低学習系ラットの生殖機能低下によって,選択交配が9世代目に至らなかっため,飼育に係る物品費用が生じずに次年度使用額が生じた。これは,次年度に8~9世代目の交配・飼育に係る物品費用として使用する計画である。
|