2021 Fiscal Year Research-status Report
運動が空間学習・記憶機能の異なるラットの海馬に及ぼす影響
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19K11568
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Research Institution | Nakamura Gakuen College |
Principal Investigator |
中野 裕史 中村学園大学, 教育学部, 教授 (60301678)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 空間学習 / 空間記憶 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は,モリス水迷路課題を指標とした空間学習・記憶機能の亢進を呈するラット(高学習系)と低下を呈するラット(低学習系)の系統を選択交配によってそれぞれ13世代目と12世代目まで作成し,低学習系の10世代目において運動介入を実施した。 両系統ともに8~10週齢時に,ビデオトラッキングシステムを用いてモリス水迷路課題を1日当たり4試行,5日間実施した。各試行は4ヵ所のランドマークのいずれかよりスタートし,プラットフォーム上に静止した場合を成功試技とした。試行時間は最大60秒間とし,6日目にはプラットフォームを取り除いたプローブテストを60秒間実施し,プラットフォームエリアの滞在時間を測定した。選択交配は12週齢以降に行った。 1~5世代目,6~10世代目,11世代目以降の3群に分類し,高学習系と低学習系のプローブテストの結果を2要因分散分析を用いて比較した結果,オスにおいて,系の主効果のみ有意であり(F(1,32.4)=21.3,p < 0.001),高学習系が低学習系よりもプラットフォームエリアの滞在時間が長く,空間記憶機能が優れていた。一方,メスの空間記憶機能においては,有意な相違は認められなかった。 低学習系の10世代目のオスを8週齢時にコントロール群と走運動群に分類した。走運動はトレッドミルを用いて4週間実施した(速度:15m/分,時間:60分/日,頻度:5日/週)。12週齢時にモリス水迷路課題を実施した結果,両群間の空間記憶機能に相違は見られなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COVID-19の影響による入構禁止などがあり,海馬の生化学的分析が未実施のため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も両系統の選択交配を続けるとともに,摘出した海馬の生化学的分析を実施する。また,運動介入の時期を見直す。
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Causes of Carryover |
COVID-19の影響による入構禁止などがあり,海馬の生化学的分析に係る物品購入がなく,次年度使用額が生じた。これは,次年度の生化学的分析および交配・飼育に係る物品費用として使用する計画である。
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