2023 Fiscal Year Research-status Report
運動が空間学習・記憶機能の異なるラットの海馬に及ぼす影響
Project/Area Number |
19K11568
|
Research Institution | Nakamura Gakuen College |
Principal Investigator |
中野 裕史 中村学園大学, 教育学部, 教授 (60301678)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 学習 / 記憶 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は,モリス水迷路課題を指標とした空間学習・記憶機能の亢進を呈するラット(高学習系)と低下を呈するラット(低学習系)の系統を選択交配によって16世代目から17世代目まで作成した。 両系統ともに8~10週齢時に,ビデオトラッキングシステムを用いてモリス水迷路課題を1日当たり4試行,5日間実施した。各試行は4ヵ所のランドマークのいずれかよりスタートし,プラットフォーム上に静止した場合を成功試技とした。試行時間は最大60秒間とし,6日目にはプラットフォームを取り除いたプローブテストを60秒間実施し,プラットフォームエリアの滞在時間を測定した。12~13週齢時に,高学習系のラットでは空間学習・記憶機能が高い兄妹間で交配を行い,低学習系のラットでは空間学習・記憶機能が低い兄妹間で交配を行った。 オスにおいて,プラットフォームエリアの滞在時間は高学習系の16世代目と17世代目でそれぞれ25.0±6.3秒,23.7±4.6秒であり,低学習系でそれぞれ10.0±6.3秒,13.0±5.6秒であった。系の主効果のみ有意であり(p < 0.001),高学習系が低学習系よりもプラッフォームエリアの滞在時間が長く,空間記憶機能が優れていた。 メスにおいて,プラットフォームエリアの滞在時間は高学習系の16世代目と17世代目でそれぞれ24.3±5.9秒,25.1±6.8秒であり,低学習系でそれぞれ15.2±3.4秒,14.5±6.5秒であった。系の主効果のみ有意であり(p < 0.001),高学習系が低学習系よりもプラッフォームエリアの滞在時間が長く,空間記憶機能が優れていた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和5年度に20世代目に到達する目標であったが,選択交配による不妊・出産数の減少など生殖機能の低下が見受けられ,20世代目に到達していない。
|
Strategy for Future Research Activity |
高学習系ラットはコントロールのWistar系ラットと学習記憶能力がほぼ同等のため,低学習系ラットの交配に注力し,交配時の週齢を早めて20世代目までの作成を目指すとともに,生化学的分析を実施する。
|
Causes of Carryover |
生化学的分析が未実施のため,生化学的分析に係る物品費用が生じずに次年度使用額が生じた。これは,次年度の交配・飼育・行動分析・生化学的分析に係る物品費用として使用する計画である。
|