2021 Fiscal Year Research-status Report
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19K11570
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
竹田 隆一 山形大学, 地域教育文化学部, 教授 (30171656)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂井 伸之 山口大学, 大学院創成科学研究科, 教授 (00267402)
池田 英治 筑波大学, 体育系, 助教 (70726877)
土井 敬真 山形大学, 地域教育文化学部, 准教授 (50711272)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 学校体育 / 剣道 / 指導法 / 物理学的効果 / 初心者指導教本 |
Outline of Annual Research Achievements |
学校体育において、武道は必修となっている。しかし、剣道に限定すれば、その実施校は少なく、多くは柔道が実施されているのが現状である。その要因として、防具などの用具のコストの問題もあるが、主因は、技術の難しさであり、同時に、その指導の難しさであるといえる。すなわち、現在の学校体育の剣道にとって重要な課題は、学習者にとって、簡単で、わかりやすい、効果的で有効な指導法を考案し、それを普及することである。 本研究は、前研究の「物理学的分析による剣道動作解明と指導法の開発」(2016年度 挑戦的萌芽研究)に継続する研究である。前研究では、物理学的分析により、①棒倒し効果(1)、②棒倒し効果(2)、③エレベーター効果、④作用反作用効果、⑤支点移動効果、⑥二段階ブレーキ効果、⑦シーソー効果、⑧内旋効果が剣道の面打ち運動に内包されていることを明らかにした。そして、指導法においては、抑制された振りと充実した大きな踏み込み運動と、その一致が重要であることが重要であり、それを実現する具体的な指導法の解明が次の課題であるとした。 それを受けて、本研究では、振りと踏み込みと、その一致を主眼として面打ち運動の指導法を模索している。解明に当たっては、物理学的効果を念頭におき、それを実現するための指導法を考察し、それらを実験によって効果の有無を検討し、大学の「剣道」の授業で実験実施し、それらの有効性を明らかにする。その結果から、有効と考えられる具体的な指導法を写真や図などで解説した初心者用の指導教本を製作する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
剣道の面打ち運動の物理学的法則性に基づいて、初心者の指導法を検討し、ある程度の結果を得た。①跳ね上げ竹刀振り(シーソー効果)、②蹴り足誘導(蹴りの運動)、③踏み込み足誘導(踏み込みの運動)、④盆踊り(②③の融合)、⑤短剣道(振りの抑制)、⑥密着振り、 ⑦連打(上下肢の一致)である。②は、竹刀を使わず、だらりと下げた両手を下から上に振り上げながら手を打つと同時に左脚を蹴りだす。③は、胸の前で合わせた両手を内旋しながら前方に突き出しと同時に踏み込む。④は、②と③を連続しておこなう。⑤は、短い竹刀(短剣道の竹刀)を片手で持って打撃する。これは、振りの抑制と打撃と踏み込みの一致を誘発するものである。竹刀が軽いこと、片手なので操作しやすいこと、半身になるので、身体を前方に移動しやすい等が要因であろう。⑥は、⑤を経験した後で、通常の竹刀を両手を密着させ打撃するものである。両手が一点になっているので、はなれているよりも振りやすい。その後、両手の間隔を徐々に開けていく。⑦は、適切な間隔をとって並んだ数人に竹刀を持たせ、それを連続して打撃するものである。リズミカルに打撃でき、それによって、振りの抑制と上下肢の一致が誘発されるものである。 以上をH大学で実施した。はじめに何も指導せず、熟練者の運動を見せただけで面打ちを実施し、それを撮影した。その後、上記の指導を十数分実施し、その後、再度撮影し、指導前後の運動を3名に絞り比較した。その結果、全員が振りの抑制ができ、上下肢の一致が改善されたという結果を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
H大学の結果を受け、今年度は、Y大学で同様の実験を実施する予定である。H大学では非常にいい結果を得ることができたが、人数が少なかった。そこで、Y大学では20人くらいを考えている。そこである程度の結果が出るものと予想する。ある程度結果がでた場合は、そこまでを指導教本として示したいと思う。 また、今後は、効果的であった被験者とそうでなかった被験者の割合を検討し、さらに、効果的でなかった被験者の運動形態を分類することと、効果的でなかった被験者にも効果的な指導法を継続して研究していきたいと思う。
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Causes of Carryover |
コロナ感染症の予防の影響により予定していた調査・実験ができなかったために、残額が生じた。 来年度は、予定した調査・実験を実施したい。
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