2019 Fiscal Year Research-status Report
中学校武道領域の各資質・能力を相互に結び付けながら育成する剣道授業に関する研究
Project/Area Number |
19K11579
|
Research Institution | Fukuoka University of Education |
Principal Investigator |
本多 壮太郎 福岡教育大学, 教育学部, 教授 (10452707)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 剣道授業 / 第1学年 / 知識の構造化・活用 / 基本打ち / 簡易な攻防・試合 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和元年度前期(4~9月)は、中学校第1学年を対象とした剣道授業の学習指導資料(動画資料含む)を作成し,実際に授業実践を行った。また、昨年度までの実践の成果を日本体育学会(研究テーマ: 知識の構造化とその活用を図る剣道の授業展開と評価分析)、日本武道学会(研究テーマ: 構造化された知識の活用を図る剣道の授業展開の評価分析: 基本動作習得の取り組みに着目して)で報告するとともに、体育・保健体育指導力向上研修(西部ブロック)や福岡県、大分県、長崎県教育委員会主催の剣道授業講習会で紹介した。また、崇城大学紀要(研究題目: 「道」の行方と学校体育、共著)、福岡教育大学紀要(研究題目: 武道教材の授業実践モデル、共著: 知識の構造化とその活用を図る中学校の剣道の授業展開に関する研究、単著)を投稿し、掲載された。 令和元年度後期(10月~3月)にかけては、中学校での授業実践及びデータ分析を行った。実践は当初の計画通り9時間の授業を3クラス121名を対象に実施し、基本打ち(面打ち、小手打ち、胴打ち)、二段の技(面-胴,小手-面)、攻防(攻撃と防御を分けての簡易な攻防)に関する知識の構造化とその活用を図る内容及び展開が実施された。データ収集についても計画通りに、対象者の基本打ち及び攻防への取り組み意識の記述データ、楽しさ及び有能感についての10件法による評価データ、対象者が考案した攻撃方法に関する記述データ、形成的評価データ、スキルテストのデータが収集された。これらのデータの分析の結果、計画、実践された内容及び展開は、対象者の基本打ちに関する「わかる」と「できる」の両方を実現を楽しく学習する中で実現するとともに、獲得した知識を手掛かりに攻防に関する思考力を高めていけることが明らかとなっている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和元年度は、中学校第1学年を対象とした学習指導資料の作成、授業実践、データ収集及び分析など、ほぼ全ての計画がほぼ予定通りに進んだ。授業実践については,実践対象者の基本打ち,簡易な攻防・試合への取り組み意識に関する記述、基本打ち及び対人技能の習得状況に関する自己評価、スキルテスト、授業内容及び展開の楽しさ、形成的授業評価等の分析を通して、仮説を裏付ける非常に肯定的な結果が得られている。ただし、剣道具の装着や片付けを短時間で行うことのできる工夫の具体的な実施や教具の開発といった点についてはを今年度の実践では実現できなかった。これらについては実践後に方法の工夫や教具の開発を行い、次年度に向けた実施の準備が整っている。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後の研究については、当初の予定通り、まず中学校第2学年を対象とした授業実践の準備と、これまでの成果を公表する学会発表及び論文投稿、学習指導支援資料の作成を進めていく。第2学年を対象とした実践では、引き技や応じ技、攻防一体型の攻防及び試合といった内容を実施していく予定である。データ収集については本年度採用した方法に加え、剣道具の着脱や片付けに要する時間の計測を行い、学習従事時間を十分に確保する工夫の在り方についての検討を行う。 本年度の実践より得られた分析結果については、今後、学会での発表や学術誌、大学紀要への投稿、剣道授業講習会・研修会等での紹介に向けた原稿や資料の作成を行っていく。
|
Causes of Carryover |
本年度の予算額と使用額においては、1,726円の差が生じた。これは、3月に大学院生1名ににデータ分析結果の点検を依頼し、その謝金として使用する予定であったものが、2月以降の新型コロナウイルスの感染拡大により、当該学生を学内に立ち入らせることができなくなってしまい、雇い上げが叶わなくなってしまったことによるものである。 差額分については次年度に繰り越し、翌年度分として請求した助成金と合わせて、授業資料の作成、収集したデータの整理や分析を行う際の院生の補助に対する謝金として充てる計画である。
|