2019 Fiscal Year Research-status Report
Prospective investigation for contribution of physical activity and fitness to children's cognitive and non-cognitive skills, and its mechanism.
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19K11602
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Research Institution | Fukuoka Women's University |
Principal Investigator |
長野 真弓 福岡女子大学, 国際文理学部, 教授 (10237547)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 安子 武庫川女子大学, 文学部, 教授 (60388212)
足立 稔 岡山大学, 教育学研究科, 教授 (70271054)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 非認知能力 / 生活習慣 / 体力 / 心理的特性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、小・中学生における身体活動(ならびにその客観的指標としての体力)が、後年の認知・非認知スキルにもたらす貢献とそのメカニズムを解明する縦断的調査を実施している。2019年度は、収集したデータから以下の解析を行い、成果を学会にて公表した。 1.国立大学附属の中学校生徒548名(欠席日数30日以上/年除外)を対象に、欠席日数の実態と多日数欠席の新規発生に関わる因子を縦断的に検討した。結果として、1年時の欠席日数は、男子では学業不振、女子では首尾一貫感覚(SOC)、ネガティブな心理的特性と関連していた。2・3年での多日数欠席(欠席日数の分布の上位20%、年間4日以上)の新規発生には、男女ともに1年時の学業不振、女子のみ朝食回数、SOCおよびネガティブな心理的特性が関連しており、不登校の定義に該当しない欠席日数には、生活習慣、学業不振および心理的特性が強く関与することが示唆された。 2.小学校低学年時のスクリーンタイムが後年の生活習慣・体力・出欠状況・学力指標といかに関連するか、地方都市郊外の公立小学校2~5年までの3年間のデータが揃う児童157名で2~5年までのスクリーンタイムと体力・欠席日数・学力指標(業者テストの偏差値)の推移との縦断的関連を検討した。2年時のスクリーンタイムが長いほど、睡眠指標・朝食摂取状況・体力は良好でなく、その状況が5年時にまで移行していた。スクリーンタイムの3年間の推移は、体力および欠席日数の推移と有意に関連していた。さらに、欠席日数の3年間の推移と学力指標の推移との間には強い関連が認められた。低学年児童のスクリーンタイムは、高学年に至るまで生活習慣・体力・出欠状況と関連し、結果として学力指標がその影響を受ける可能性が高いと推察された。極力早期から、放課後のスクリーンタイムを抑制する取組が必要と考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度は、以前から継続していた縦断データの一部を用いて、小学校低学年時のスクリーンタイムと3年後の生活習慣・体力・出欠状況・学力指標との関連を明らかにした。さらに、中学生の縦断データからも、不登校の定義に該当しない欠席日数には、生活習慣、学業不振および心理的特性が強く関与することを明らかにでき、おおむね順調に成果を上げていると考えられた。 しかしながら、年度末からの新型コロナ感染症の感染拡大により、調査対象校が休校になるなど、2020年度の研究遂行が危ぶまれている。引き続き状況を注視しながら調査の可否を検討したい。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナ感染症の感染拡大のため、調査対象校が休校を余儀なくされ、調査スケジュールに影響が出る可能性が高い。また、長期休校によるデータへの影響も懸念される。今後は感染状況を注視しながら調査の実行について検討する。それと並行して、これまでに蓄積されたデータの論文化を早急に進める。さらに、今後当該感染症の影響が長期化することを踏まえ、オンラインでの研究環境整備、共同研究者との打ち合わせを推進する。
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Causes of Carryover |
新型コロナ感染症の影響により、予定していた出張や研究の打ち合わせがキャンセルになったため、約40万円の次年度使用額が生じた。 次年度は、出張での打ち合わせや学会活動が通常通りできる見通しが立たないため、オンラインで可能な限りカバーすることとしている。それにあたり、研究用に使用していたノートPCが故障したため、オンライン活動に最適な仕様のノートパソコン購入に今年度余剰金を充当する。加えて、次年度は海外学会への参加を想定して予算建てをしていたが、これも現地開催の見通しが立たず余剰金が発生する見込みであるため、オンライン化による研究環境の整備、データの論文化およびデータ整理・事務処理などで増加した研究補助者の謝金増額に余剰金を充てる予定である。
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Research Products
(2 results)