2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K11619
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Research Institution | Tokai Gakuen University |
Principal Investigator |
石垣 健二 東海学園大学, スポーツ健康科学部, 教授 (20331530)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 身体的な「われわれ」 / 身体的対話 / 身体的な感じ / 間身体性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、「身体教育によって生成する『われわれ』の独自性」を明らかにすることである。体育やスポーツなどの身体教育における 「かかわり」によって、「われわれ」という認識が具体的にどのように生成されるのかを問い、その「われわれ」が他の活動によって生成する「われわれ」とい かなる点で異なる独自性を有するかを明らかにしようとするのが本研究である。 研究3カ年目となる本年度は、学校体育のなかでは「身体的な感じ」をともなう対話が成立しており,それによって,身体的な「われわれ」が生成する具体的事例について検討した(石垣健二(2021.6.)身体的な「われわれ」の獲得としての学校体育,日本体育学会体育哲学研究領域定例研究会).そこでは,学校体育のなかで,自己と他者は身体運動を実践しながら互いが「身体的な感じ」を探っており,それが身体的な「われわれ」の生成につながることを示しながら,身体的な「われわれ」の獲得としての学校体育について論じられた. さらに,本年度は、台湾運動哲学会に招聘され,間身体性の育成としての学校体育と現象学的方法および間身体的アプローチの具体的適用について講演をおこなった(Kenji ISHIGAKI(2021.10.29.)School Physical Education as Cultivation of Intercorporeality: Phenomenological Methods and Expansion toward the Study for Physical Education, 2021Taiwan International Conference of Sport Philosophy).そこでは,具体的なハードル走やキャッチボールなどの事例を示しながら,身体的な「われわれ」のあり方について論じている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は,身体的な「われわれ」が学校体育のなかで生成することを間身体性の育成として捉え,それを具体的事例をもとに検討できたことが研究の進展としてあり,さらにはその内容を,学会発表や招聘講演において論じられたことも,誠に有意義であった.しかし,それらの発表がオンラインであったこともあり,その内容に対する反応と手応えが十分に得られなかったという事実があり,その点を,次年度の発表でも確認したいと考えている. また,新型コロナウィルスの影響で国外の調査出張・国外での研究発表も果たせなかった.それによって,メルロ=ポンティの間身体性それ自体の調査の進展,海外研究者の反応・批評を次年度では得たい.
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Strategy for Future Research Activity |
前年度までに、体育やスポーツなどの身体教育によって獲得できるわれわれとは、「身体的な感じ」としてのわれわれという認識であること,そして,そのわれわれのあり方を具体的事例として検討し,間身体性の育成として学校体育を捉えようとしてきた.今後は、その具体的事例のさらなる収集と検討が必要であるとともに,その身体的な「われわれ」が生成する詳細なメカニズムについて探ることになるろう。 したがって、今後も引き続き文献収集とその読解を中心に研究をすすめてゆく必要がある。これまで通り哲学および心理学の文献を精読することによって、われわれという認識の本質にせまらねばならない。また、教育学や体育学の文献収集とその読解はこれまで以上に重要となるだろう。というのも、教育や体育の現場において、どのような具体的事例においてわれわれという認識が生成するのかを検討・分析をしてゆく必要があるからである。その分析を通して、身体教育に よって生成する「われわれ」の独自性とその生成に関わるメカニズムがより明確になろう。 そのためにも、引き続き関連諸学会に参加し、上記の内容について同領域研究者に着想・構想の妥当性について評価を得たい。そして、その成果については、 関連諸学会・研究会において発表の機会をもつとともに、学会の論文誌に積極的に投稿することで公表したい。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた最大の理由は、新型コロナウィルスの影響によって、参加を予定していた所属学会がオンライン開催となったこと、特に国際学会がシンポジウムのみの開催で一般発表の申込が実現しなかったこと、さらには国外調査がおこなえなかったこと(旅費の未使用額)が大きい。 次年度使用額については、国際学会(米国・ペンシルバニア州立大学)での発表および国外調査旅費(フランス・パリ)として使用する計画である。前者では、「身体的な感じ」としてのわれわれという認識に関わる発表をおこない、現象学が盛んな欧州の研究者を中心に意見聴取をするつもりである。また、国外調査として は、間身体性など本研究の鍵概念になっている現象学者:メルロ=ポンティ,M.が教鞭をとったソルボンヌ大学などで、現象学の本質を探る予定である。
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Research Products
(3 results)