2021 Fiscal Year Annual Research Report
桑葉はNASHを予防・改善する食品素材となりうるか
Project/Area Number |
19K11648
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Research Institution | Hokkaido University of Science |
Principal Investigator |
若命 浩二 北海道科学大学, 薬学部, 准教授 (40523874)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小松 健一 北海道科学大学, 薬学部, 教授 (10195844)
佐藤 恵亮 北海道科学大学, 薬学部, 講師 (60733946)
中田 章史 北海道科学大学, 薬学部, 准教授 (70415420)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | NASH / Lipin1遺伝子 / 桑葉 / 脂質代謝 / 肝細胞癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
予定通り「ストレプトゾトシン+高脂肪食」によるNASH(STAM)モデルマウスのNASH(脂肪肝)→肝硬変→肝細胞癌へと病態が進展の詳細な検証を行った。特に、2019年度からの追試で実施した桑葉粉末を配合した餌を与えたNASHマウスモデルについての病態変化を検証し、コントロール群と桑葉粉末投与群との比較を行った。 結果として、本NASHモデルは文献通りに100%の確率で肝細胞癌が発生することが確認された。すなわち、体重変化、血液中生化学的指標の変化(おもにAST、ALT、TGの上昇)、肝臓病理変化(組織の繊維化、癌化)の抑制効果について詳細な結果を得ることができた。 さらに、肝臓中Lipin1遺伝子(mRNA)の変動についてリアルタイムPCRにより測定したところ、NASHモデルマウス肝臓中のLipin1遺伝子は、コントロールマウスと比較して有意に抑制されていた。同時に、桑葉を投与した群では有意にこれらのNASHに関わる指標を抑制し、桑葉が本モデルにおいてNASHの病態を抑制し、肝臓がんの発症を抑えることが明らかとなった。ついで、正常マウスにオリーブ油もしくは桑葉を投与した際の、数時間内の血液中の中性脂肪は桑葉投与によって抑制された。肝臓Lipin1遺伝子の発現はオリーブ油投与で抑制、桑葉+オリーブ油投与で回復傾向を示した。 また、桑葉のNASH抑制に関与する成分を探索する目的で、LC-MS/EC-MSを用いてメタボローム解析を実施したところ、367種/アノテーション成分1200種の成分ピークが検出された。この成分の内訳は、脂溶性成分約80種/水溶性成分約290種であり、桑葉の水溶性成分には低分子ポリフェノール(ケルセチン誘導体など)の存在が確認された。これらの中には、文献的に糖代謝、脂質代謝活性がある成分が報告されており、マウス投与のための成分の分画を開始している。
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