2019 Fiscal Year Research-status Report
様々な栄養状態における細胞内のタンパク質分解システムの新たな分子機構の解明
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19K11658
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Research Institution | Suzuka University of Medical Science |
Principal Investigator |
棚橋 伸行 鈴鹿医療科学大学, 保健衛生学部, 准教授 (30511927)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | プロテアソーム / 分子集合 / ユビキチン |
Outline of Annual Research Achievements |
プロテアソームによるアミノ酸プールの恒常性維持に関与する分子機序を解明するために、2019年度は4週齢と24週齢の絶食マウス(12、24、48,72時間)の肝臓と脳におけるプロテアソームの構成成分及び分子集合に関わる因子を解明する研究を進めた。その結果、1)各週齢の肝臓と脳のプロテアソームを構成するサブユニットのタンパク質の発現は給餌と絶食とでほとんど差が認められなかった。また、給餌状態では、プロテアソームの分子集合に必要なUmp1は、プロテアソームを形成したあと、この酵素により分解される。しかし、4週齢の肝臓と脳では、このUmp1が絶食時間依存的に蓄積された。2)4週齢の肝臓と脳において、ユビキチン化されたタンパク質は絶食時間依存的に蓄積された。3)プロテアソームの動態を解析するために、各週齢での給餌及び各々の絶食の粗抽出液を分子篩クロマトグラフィーに展開した。その結果、26S及び20Sプロテアソームは同じ分画に溶出されたので、各々のプロテアソームの複合体のサイズは変化しないことが判明した。また、プロテアソームの活性は、4週齢において肝臓と脳ともに絶食時間依存的に低下することが認められた。しかし、24週齢では、絶食により一旦は減少するが、絶食時間依存的に増加することが分かった。これらの活性の変動は、Ump1の変動とユビキチン化されたタンパク質の蓄積に一致した。4)4週齢の絶食マウスを給餌状態へ戻したとき、脳におけるプロテアソームの活性は完全に給餌状態まで回復したが、肝臓におけるプロテアソーム活性は給餌状態まで回復されなかった。この変動は、Ump1の変動とユビキチン化されたタンパク質の蓄積に一致した。 以上より、1)栄養状態の変化によるプロテアソームの変動を制御する因子としてUmp1が考えられること、2)週齢が異なるとプロテアソームへの影響が違うことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
採択時の計画である給餌及び絶食状態におけるプロテアソームの機能及び発現系について研究を進めた結果、1)プロテアソームの各サブユニットと関連因子のタンパク質の発現レベルの変動、2)プロテアソームの動態変化の有無、3)その動態変化に対するプロテアソームの分子集合に関わるタンパク質の同定、4)絶食により解離したPA700と20Sプロテアソームが給餌に戻すことにより再構築されことなど、ある程度の知見を得ることができた。さらに、週齢の違いにおいても1)~4)の解析を行うことができた。 しかし、この各々の栄養状態において、1)プロテアソーム系を制御しているシグナル伝達に関わる機構について、2)プロテアソームの機能変化に対してこれらに関わる遺伝子レベルの変化などについてほとんど解析できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
プロテアソームによるタンパク質分解が細胞におけるアミノ酸プールの維持に重要であること、飢餓の際にアミノ酸の確保を行うタンパク質分解系であるオートファジーがmTOR複合体1により抑制されることなどを考えると,細胞における2大分解系の使い分けを対比することが必要である。 そこで、まず2019年度に解析できなかった研究を推進する。 1) 絶食状態下のmTor系(mTor-SREBP-Nfr1系)、PI3K-AKT系(PI3K-AKT-FOXO系)の遺伝子発現及びタンパク質発現、組織や血液中の遊離アミノ酸量を分析し、プロテアソームの機能変化との関連性、さらにオートファージとの関係についても解析する。 次に、栄養素の割合が異なる餌を調製して下記の研究を推進する。 2)脂質は一定にして、タンパク質と炭水化物の割合を変化させた3種類の餌と通常使用している餌(CE2)を2カ月、6ヶ月間マウスに摂取させる。各餌の血液、肝臓、腎臓、脳を採取して、各々の粗抽出液を作製し、a) プロテアソームの分子形成に関与する因子を含めたサブユニット群の遺伝子とタンパク質発現、b) ユビキチン化されたタンパク質の蓄積の有無について解析する。c) 粗抽出液を分子篩クロマトグラフィーにて分画し、プロテアソームの分子サイズ、ペプチダーゼ活性を測定する。さらにプロテアソームを形成する各サブユニット群の動態を抗体にて解析する。
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