2021 Fiscal Year Annual Research Report
様々な栄養状態における細胞内のタンパク質分解システムの新たな分子機構の解明
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19K11658
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Research Institution | Suzuka University of Medical Science |
Principal Investigator |
棚橋 伸行 鈴鹿医療科学大学, 保健衛生学部, 教授 (30511927)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | プロテアソーム / タンパク質分解 / ユビキチン / 分子集合 |
Outline of Annual Research Achievements |
プロテアソームによるアミノ酸プールの恒常性維持に関与する分子機序を解明するために、2021年度は、脂質は一定にしてタンパク質と炭水化物の割合を変化させた3種類の餌と通常使用している餌(CE2)を6ヶ月間マウスに摂取させ、各餌の血液、肝臓、腎臓、脳を採取し、プロテアソームの機能解析を進めた。 その結果、6か月間飼育した場合の臓器に関しては、1)脳と肝臓では、CE2と3種類の餌では、形成された26Sプロテアソームのペプチダーゼ活性には大きな変動が認めらなかった。一方、20Sプロテアソームは肝臓や脳で3種類の餌で飼育した場合、CE2よりわずか増加する場合、低下する場合が認められた。また、どの栄養状態でも、プロテアソームの分子サイズは変化しなかった。以上より、6か月でも2か月同様に摂取するタンパク質含量が異なることにより、26S及び20Sプロテアソームの活性が変動することが判明したことから、プロテアソームの活性は、摂取する栄養素の影響を受ける可能性が示唆された。 各餌で飼育したマウスの肝臓の粗抽出液におけるプロテアソームとその活性化因子のタンパク質の発現解析した。20Sプロテアソーム、Rpt6、Rpn10の蛋白質の発現はほとんど変化が見られなかったことから、栄養素の割合はプロテアソームの各サブユニットの発現には影響がないと考えられる。一方、mTOR、PGC1α、S6K1、4E-BP、Nrf1のタンパク質の発現は差が見られた。 今回の研究からプロテアソームの発現制御機能は栄養状態により影響すると考えられるため、今までに報告した2か月の試料でも同様な解析を進めることにより栄養とプロテアソームとの発現制御機能の解明に繋がる可能性があり、更に検討する必要があると考える。
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