2021 Fiscal Year Research-status Report
高齢ドライバーの運転事故に関連する“とっさの判断・実行力”の評価および改善可能性
Project/Area Number |
19K11663
|
Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
山次 俊介 福井大学, 学術研究院医学系部門, 准教授 (40311021)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 認知機能 / Multi-task / 自動車運転 / 高齢者 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、高齢ドライバーの運転事故と密接に関係する身体、認知機能を捉え、ハイリスク者を抽出するMulti-taskテストを開発し、さらに本テストを活かした改善エクササイズを介護一次予防プログラムに取り入れて運転事故リスク低減の可能性を検証することを目的とした。本年度は、作成したMulti-taskテスト試作機を利用し、高齢者を対象とした測定を行った。 昨年度、若年者を対象として検証したデュアルタスクテストの測定条件を利用した。デュアルタスクテストは、周囲の状況を確認しながらハンドル・ペダル動作を行うことを想定しており、画面に表示された目標点をジョイスティックで追従しながら、画面の指示に応じて足部ペダルのアクセル、ブレーキペダルを踏む動作を行う。テスト1は画面中央に交互連続して10回表示される青もしくは赤丸に応じてペダルを踏み、反応時間を測定した(反応時間)。テスト2はテスト1の反応時間に加え、画面の四隅にランダムに表示される目標点にカーソルを合わせる課題を与えた(反応時間+合致までの時間)。テスト3はテスト1の反応時間に加え、振幅50㎜、波長50㎜、速度10㎜/sの正弦波形で画面上を移動する目標点を追従する課題を与えた(反応時間+一致して追従できた時間)。 デュアルタスクテストパフォーマンスが、高齢ドライバーの運転実施の有無、運転自信度、または近親者の運転評価によって異なるかを検証した。運転に不安があると回答した者はおらず、やや不安と回答した者は6名であった。運転の自信によるデュアルタスクパフォーマンスに有意差は認められなかった。一方、周囲から忠告された者は4名であり、いずれのデュアルタスクパフォーマンスも有意に劣っていた。さらに、これらの者は運転をしない者と比較してもテスト2の反応時間が有意に劣っていた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画では、令和3年度は高齢者を対象とした大規模測定を計画していた。しかし、令和2年度と同様、新型コロナウィルス感染拡大の影響により介入予定であった地域介護予防教室や高齢者体力測定イベントなどの中止が相次いだため、感染状況が落ち着いた際に実施できた測定のみとなった。 令和3年度に取得した高齢者を対象としたデータにより、測定値の信頼性、有効性についての確認はできたので、令和4年度では測定回数を増やし、基礎データおよび介入データを取得する予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
令和4年度は、在宅高齢者300名を対象として、介入測定を実施する。Multi-taskパフォーマンスとの関係を検証し、運転危険者のカットオフ値を探索する。また、同程度の認知機能、身体機能の運転免許証非保有者とマッチングし、Multi-taskテストを比較し、Multi-taskテストが運転技能に特異的なテストであるか否かを検証する予定である。
|
Causes of Carryover |
R3年度は、R2年度に引き続き新型コロナウィルス感染拡大により、予定していた高齢者を対象とした測定の多くが中止となった。そのため、それらの測定に使用する備品、消耗品、旅費などは今年度の測定、成果発表において使用する予定である。
|