2021 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19K11664
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
梅原 隼人 岐阜大学, 大学院医学系研究科, 准教授 (20610182)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 摂餌予知行動 / ヒスタミン神経系 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに筆者は、摂餌予知行動(FAA)の概日リズムと同調して一部のヒスタミン神経細胞群が活動すること、ヒスタミンH1受容体(H1R)を介してFAAの行動リズムが制御されていることを示唆するデータを得ている。令和3年度は、FAAの制御にかかわるヒスタミン神経系の機能的神経回路を探索した。 本研究ではまず、FAA に対して抑制効果を示したH1R拮抗薬の処置によって、神経活性化マーカーである c-Fos の発現が抑制される脳領域を探索した。その結果、視床下部弓状核(ARC)において、FAA のリズムに同調する c-Fos の発現がH1R拮抗薬の処置により有意に抑制された。c-Fosの発現抑制がみられたARCが、実際にFAAのリズムと同調して活動するヒスタミン神経系の標的部位であることを確かめるために、ARCに逆行性トレーサーを投与し、トレーサーでラベルされたヒスタミンニューロンが c-Fos を発現するのかどうか調べた。その結果、ARC から逆行性に標識されるヒスタミン神経細胞の一部がc-Fosを発現していた。以上の結果から、ARC へと投射するヒスタミン神経回路がFAA 制御にかかわることが示唆された。 現在は、H1R拮抗薬の処置によって神経活動が抑制されたニューロンがH1R発現ニューロンであるか確かめるために、ARC における c-Fosタンパク質(c-fos mRNA)と H1R mRNA との二重染色を試みている。また、ガイドカニューレを用いてH1R拮抗薬をARC局所にマイクロインジェクションすることによりFAAが抑制されるか調べている。本研究の進展により、これまで知られていなかった摂餌予知機能の制御にかかわるヒスタミン神経回路を明らかにできる可能性がある。
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