2021 Fiscal Year Annual Research Report
ミネラルの吸収・代謝動態に対する脂質摂取の相互作用の分子基盤の解明と実践研究
Project/Area Number |
19K11670
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
新井 英一 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 教授 (60325256)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ミネラル代謝 / 腎臓 / 消化吸収 / カルシウム / マグネシウム |
Outline of Annual Research Achievements |
食の欧米化が進み、肉類など動物性食品(たんぱく質や脂質等)の摂取量が増えるとともに、食の簡便化に伴い加工食品も普及し、すなわち吸収性の高いリンを含む食品添加物が広く用いられるようになり、慢性腎臓病に対するミネラル管理がますます重要となってきた。一方、国民健康栄養調査の結果によるとカルシウム(Ca)のみならずマグネシウム(Mg)などの摂取低下も指摘されており、慢性腎臓病の食事療法の1つであるたんぱく質やリンだけでなく、脂質や他のミネラルの代謝も考慮した、きめ細やかな献立を検討する必要がある。初年度、動物実験にて高脂肪食摂取時におけるミネラルの吸収・代謝動態に影響を及ぼすことを明らかにし、2年目において、健常女性を対象に、24時間蓄尿法を用いて、一定期間の規定食を摂取したMgの出納を評価できるかを探索したところ、評価できることを明らかにした。3年目において、健常な女性を対象に、脂質摂取量を変化した食事を摂取した際のCa、Mg、リン代謝を24時間蓄尿法にて評価できるか、また差異が生じるかを評価することを目的に臨床試験を行った。エネルギー量(2000kcal)およびMg(300mg)、リン量(1100mg)をほぼ合わせ、Ca(450、700mg)および脂質量(23、28.5%E)に差異がある食事を数日間摂取した際の出納試験を行い評価した。動物実験の結果とは異なり、尿中Mg排泄量は、脂質量およびCa摂取量が増えることで高値を示すことが明らかとなった。現在、そのメカニズムの解明および慢性腎臓病モデル動物の構築とその評価を継続して取り組んでいる。
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