2022 Fiscal Year Research-status Report
一般住民への食生活介入の高尿酸血症及び慢性腎臓病に対する1次予防効果の検討
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19K11689
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
宮城 栄重 金沢大学, 附属病院, 特任助教 (40341987)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻口 博聖 金沢大学, 医学系, 特任助教 (00723090)
清水 由加里 公立小松大学, 保健医療学部, 講師 (90827403)
原 章規 金沢大学, 医学系, 准教授 (70507045)
中村 裕之 金沢大学, 医学系, 教授 (30231476)
神林 康弘 岡山理科大学, 獣医学部, 教授 (20345630)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 高尿酸血症 / 腎機能 / 食生活 / 1次予防 / 介入調査 / 住民調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)高尿酸血症は腎機能の低下との関連が知られており、慢性腎不全や血液透析につながる可能性がある。本試験は、高尿酸者に対する食生活を主とした生活改善がどの程度、尿酸改善や腎機能低下抑制に有効であるかを長期的に検討することを目的としている。 (2)調査方法:石川県志賀町が実施している特定健康診査を受診した40歳から74歳の高尿酸血症(血清尿酸値6.8㎎/dl以上)に募集チラシを郵送し参加を募った。参加者には30~40分程度の個別面談を行い尿酸値改善のための目標を設置した。その後、定期的に電話連絡やLINEなどを使って目標の実施状況や体調等を追跡している。 (3)しかしながら、2020年度は新型コロナウイルス感染対策のため調査範囲を大幅に縮小し、2021年度からは調査範囲を広げ、羽咋郡志賀町全域として実施したものの、住民の感染対策への意識は高く十分な参加者を集めることは難しい状態であった。 (4)2022年度の実施状況:選択基準に該当する全ての一般住人191 名に募集チラシを送付し27 名の応募があり、最終的に24名から参加同意を得た(実施率12.6%)。12月より面談を行い、現在追跡調査を継続している。 (5)2019~2021年年度にほぼ同様の介入を行い、1年間以上追跡した参加者の合計は47名である。尿酸値の変動は、介入前 7.4±0.5mg/dlから 介入1年後は7.0±0.5㎎/dlへ改善傾向があった(p=0.13)。また、腎機能の指標であるeGFRは60.2±14.2から介入1年後は62.2±12.1へやや改善が見られた。 (6)後ろ向き研究:志賀町・羽咋市からレセプトデータおよび健診結果の提供を受け解析を進めている。2022年度には、健康成人であっても腎機能が低下傾向にある者では脂質摂取量の増加が尿酸値の上昇を招くことを発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は一般住民を対象とした介入調査であり、介入方法として初回の対面での生活改善相談が重要である。 しかしながら、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、面談の実施を志賀町モデル4地区のみに縮小した。 一昨年度より、志賀町全域に調査範囲を拡大し、住民からの応募状況も改善しつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)令和5年度は新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけが「5類」に移行されたため、羽咋郡志賀町および羽咋市の行政と協議して研究実施計画書をもとに、本年度も参加者の拡充に努め、介入研究を進めて行く。 (2)具体的な方法としては、①本年度はできる限り積極的に健康診査の会場等へ研究者が出向き、被験者の獲得に努める。②行政より前年度までの健診結果を得て、尿酸値6.8㎎/dl以上であった方々に、本研究のチラシを直接配布・説明するなどして研究参加を依頼する。③被験者への介入方法は本年度までの方法を継続する。 (3)介入方法は、まず面談を行って生活習慣の聞き取りと高尿酸血症改善のための目標を設定する。その後2週、1カ月、3カ月、6 カ月、12カ月目に電話、SNS、郵送などで追跡する。目標の実施状況、必要であれば新たな目標の設定、生活習慣、体調変化、治療の有無などを確認す る。介入開始後、1年毎に尿酸値を測定する。 (4)これまでの追跡データより、尿酸値の改善傾向がみられており、R4年度被験者の結果を加えて解析を実施し、論文執筆をすすめる。 (5)志賀町および羽咋市の住民に関する健康診査結果に加えてレセプトデータを用いて尿酸値と生活習慣等との関連に関する解析を継続し、論文を執筆する。
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Causes of Carryover |
研究は一般住民を対象とした介入調査であり、新型コロナウイルス感染症予防のために数年間は研究を縮小せざるを得なかった。また前年度までに、パソコン、プリンターなどの購入は終了している。さらに、研究実施地域を縮小していたため、被験者募集のためのポスターやチラシ、面談で使用する指導媒体等も余剰があり、令和4年度は多額の経費を必要としなかった。 令和5年度は研究拡大を目指しており、そのために備えている。
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