2019 Fiscal Year Research-status Report
血管障害マルチマーカーの「その場」同時分析法の開発と糖尿病合併症予見への展開
Project/Area Number |
19K11690
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
海老原 章郎 岐阜大学, 応用生物科学部, 教授 (60415099)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | プロレニン / 糖尿病合併症 / 臨床現場即時検査法 / SDGs |
Outline of Annual Research Achievements |
糖尿病合併症は腎臓や眼などの血管に様々な障害を与える。合併症が進行すると、患者は失明や人工透析を余儀なくされる。合併症の予見は、発症前の効果的な治療、人々のQoLの向上、医療費削減につながる。本研究は、糖尿病合併症の主要因である血管障害に関連する複数のマーカー分子(マルチマーカー)に着目し、マルチマーカーを臨床現場で同時に分析可能な方法を開発、その方法を糖尿病合併症の予見に活用することを目指す。本研究では、金ナノ粒子標識抗体を用いた高感度電気化学測定(GLEIA)を利用するが、令和元年度は測定系の再現性構築を行った。ヒト絨毛性ゴナドトロピンを(hCG)に対しイムノクロマト法を構築した論文[Cederquist, K. B. et al., (2017) Colloids Surf. B. Biointerfaces 149, 351-357]を参考に、hCGをモデル分析物としてGLEIAの測定条件を検討した。その結果、センサーチップへの抗体固相化ならびにブロッキング溶液の改善によって安定した電気シグナルを得ることができ、得られた検量線(抗原濃度:0-100 ng/ml)に基づく検出限界は1.4 ng/mlであった。これらの結果から、GLEIAを用いた正確な定量測定の実験的基礎を得ることができた。 研究代表者はバングラデシュ・ダッカ大学で開催された国際会議において本研究課題に関連する研究発表を行った。発表に関する質疑では、バングラデシュは糖尿病患者の増加が問題となっていることを背景に、本研究で開発する分析法への関心や期待が寄せられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実際にGLEIA測定を進めると、複数回の測定値に対するばらつきが大きいことに直面した。この対処に時間を要したために、複数の対象物質の測定に着手できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
一つのセンサーチップで複数サンプルを同時に検出できるチップを用いて、複数の対象物質をGLEIAで測定できる基礎を築く。
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Causes of Carryover |
今年度は安定的データ観測ならびに検出感度評価に重点を置いた。GLEIAによる同時分析法は未着手であり、そのための予算を確保している。次年度は同時分析法を推進する。
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