2020 Fiscal Year Research-status Report
栄養性肝ミトコンドリア代謝破綻と自己炎症の解明、RNAメチル化修飾に注目して
Project/Area Number |
19K11692
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
高山 房子 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 准教授 (10236367)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
合葉 哲也 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 准教授 (00231754)
古田 和幸 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 准教授 (50644936)
檜垣 和孝 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (60284080)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 栄養エネルギー代謝 / RNA / エピジェネティクス / 慢性炎症 / 異所性脂肪 / 酸化ストレス / NASH / 腸管上皮バリア |
Outline of Annual Research Achievements |
令和2年度においても、「MS生活習慣病の根底の慢性炎症」の形成に重大な役割を果たす腸管上皮バリア機能とインフラマソーム活性化についての解析を引続き実施し、本課題ミッション[B] (下記) を追究できている。なお、研究試料は2019年度作製の病態モデル動物から採取後-80℃凍結保存試料(下記①)を用い、病態進展度データ(下記②)を踏まえ、「腸管上皮バリア機能とインフラマソーム活性化」との関係を明らかにできた。 ①メタボリックシンドローム (MS) 基盤肝疾病の肝異所性脂肪病態「肝細胞内肥満」NAFLD (非アルコール性脂肪性肝疾患, nonalcoholic fatty liver disease)およびその範疇で炎症・線維化進展の著明なNASH[特許第5109134]の両病態動物モデル」試料。 ②肝障害に対する臨床診断基準 (血液生化学的マーカー、病理組織化学的検査) による【栄養性肝疾患NAFLD およびNASH】の病態進展度。 本課題はミッションとして、【[A]RNA-エピジェネティックス (RNA-EG, メチル化修飾) と肝ミトコンドリア代謝ストレス】および【[B]栄養性肝炎における自己炎症反応】を据えている。[B]について、「肝実質細胞におけるインフラマソーム構成分子」形成解析を実施した。加えて、RNA塩基の脱メチル化を制御する分子AlkBホモログ(ALKBH)ファミリー分子中、FTO (ALKBH9)やALKBH7の発現解析を実施し、さらに、栄養エネルギー代謝や自己炎症に関与する可能性から、別分子も追及中である。 さらに、ComplexⅠを始めとする肝ミトコンドリア呼吸鎖複合体の機能変化の検討系実験を進めている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本課題の目的は、過栄養という外的負荷もたらす代謝リモデリングによる代謝破綻に介在するエピジェネティックスならびに自己炎症反応に関する肝実質細胞、肝内および肝外因子を明らかにすることである。解明する上で注目しているのは、過 (偏倚) 栄養への暴露で惹起される、[A]RNA-エピジェネティックス (RNAメチル化修飾) と肝ミトコンドリアストレスおよび自己炎症反応である。 このため、令和2年度における研究計画を、「研究実績の概要の項」にて既記述の「腸管上皮バリア機能とインフラマソーム活性化」および「[A]RNA-エピジェネティックス (RNA-EG, メチル化修飾) と肝ミトコンドリア代謝ストレス」の着手・推進と予定していた。 実績概要に記したように、メチル化修飾RNA調節でRNA-EGに作動するALKBH分子の発現変動ならびにミトコンドリアストレスと肝脂肪性変性との相関を明らかにしつつある。 さらに、2019年度に一部前倒し実施していた「自己炎症反応の誘発・慢性化、MS生活習慣病の根底の慢性炎症に繋がる重要な因子解析」をさらに推進し、自己炎症疾病の発症に関与するインフラマソーム複合体の発現変動の検討実験から「腸管上皮バリア機能の変化に保護的に機能するインフラマソームが高脂肪食で過剰に反応して肝臓との臓器間クロストーク?」の解析に向けている状況である。 そこで、本研究の進捗状況は「 (2)おおむね順調に進展している。」に相当すると考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
高脂肪・高糖摂取習慣による栄養性肝疾患における、栄養性肝代謝ストレスおよび腸管上皮ストレス、肝ミトコンドリア傷害と自己炎症の慢性化がどのようにして協調増悪化していくのかの分子基盤を追究解明し、肝実質細胞、肝内および肝外因子の同定とその機序を引続き明らかにし、制御する基盤技術の創出を推進する。 過栄養暴露の肝実質細胞におけるインフラマソーム構成分子の形成源や呼吸鎖の最初に位置しエネルギー産生に中心的な役割を果す肝ミトコンドリア呼吸鎖複合体Iの重要性の解明を引続き図り、偏った栄養摂取習慣がもたらす免疫変調・破綻とミトコンドリアエネルギー代謝の破綻に対する介入方策の確立研究を引続きさらに推進する。
|
Causes of Carryover |
令和2年度に実施予定であった「自己炎症反応の誘発・慢性化、MS生活習慣病の根底の慢性炎症に繋がる重要な因子解析」の一部研究を前年度に着手したことにより、予算を前倒して使用していた。これにより、令和2年度分としていた予算が減じた状況であった。申請課題を前に進めるため、令和3年度に購入予定であった試薬・消耗品を令和2年度中に購入する必要がでてきたため、定価による計算による経費について、前倒し支払請求を行った。若干の割引により、前倒し支払いより残高が生じた。
|